訴追も国民目線~検察審査会~
亀井です。
検察審査会により某大物政治家が起訴相当との判断を下され,急に検察審査会というものがクローズアップされています。
犯罪が発生し,犯人が捕まった時でもそれを刑事裁判にかけるかどうか,つまり「起訴」するかどうかの権限は本来検察官のみにあります。検察審査会は,検察官のこのような不起訴の判断が妥当かどうか判断するための機関です。犯罪被害者等から審査申し立てがあった場合に,11名の審査員による会議で審査がなされます。審査員の任期は6ヶ月で大体1ヶ月に,1,2回の会議への出席が求められているようです。それにより,起訴が相当又は不起訴が不当の議決がなされた場合には,検察庁に通知がなされ,検察官が再度,起訴するかどうかについて検討することになります。
ただ,検察官は,検察審査会の議決を参考にしつつも,これに拘束されるものではなく,再度不起訴にすることもできます。実は今まで,市民が起訴不起訴に関われるのはここまででした。
しかし,改正検察法施行により,検察官が検察審査会の議決に反して不起訴にした場合でも再度,検察審査会が起訴するべきであるという議決をした場合には,自動的に「起訴」されることになりました。つまり,市民が起訴するかしないかについて意見を示すだけではなく,一定の起訴権限をも持つようになったのです。
そして,裁判所は検察官に代わって,裁判で主張立証活動を行う弁護士を指定します。起訴状も弁護士が作成します。通常は加害者側の弁護をする立場の弁護士が,この場合だけは加害者を追及する立場に立つわけです。
実はこの改正検察審査会法が施行された2009年5月21日は裁判員裁判法施行の日でもありました。国民目線の裁判が訴追レベルでも同時に始まっていたのです。
私達弁護士の活動も国民の厳しい目をよりいっそう意識していかなければなりません。
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