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2009年12月

2009年12月24日 (木)

企業と苦情対応

櫻井です。先日ある小売チェーンを経営する企業から「苦情対応」の相談を受けました。

ある店舗で2人連れの客のうち1人が店を出ようとしたところ万引き防止用のセンサーが鳴り出しました。客はかまわず店舗から外に出て立ち去ろうとするので、女性店員が追いかけて「お客様が通過したときに盗難防止センサーが鳴りました。バッグによってはそのもの自体にセンサーが反応してしまうこともありますが、差し支えなければバッグの中を見せていただけないでしょうか。」とお願いしました。客は俺を疑うのかと言いながらバッグの中を見せました。さらに、そんなに疑うならこっちも見てみろといってポケットも裏返しにしました。バッグの中からもポケットの中からも商品は出てきません。客から「俺を万引きだと思ったのか」と詰め寄られ、女性店員は「はい。すみません。」と答えました。どうしてくれるんだと言う話になり、店舗では対応できず、チェーンの本部が対応することになりました。本部では疑った点についてはこちらに非があるし、万引きだと思っていることを認めてしまったのも失敗だったとして迷惑料程度の支払はやむを得ないと考えたようです。

私は1円も支払ってはならないと助言しました。また、疑ったことも万引きだと思ったことも詫びる必要がないと助言しました。

盗難防止センサーは、精算をせずに店外に出ようとする者をチェックする装置です。それが鳴れば店員がすわ万引きかと思うのは当然のことです。店員が「泥棒」などと叫んだのなら別ですが、当然の内心を責められる筋合いはありません。むしろ防犯用のセンサーが鳴ったのにそのまま立ち去って行こうとした行為こそ疑惑を助長させる行為だというべきです。また、その客は「バッグを無理やり開けさせられた。ポケットまでチェックされた。」と言っているようですが、店員はバッグの中を改めさせてほしい旨お願いしたに過ぎず、バッグに指1本触れていません。ポケットについてはチェックを求めたこともありません。以上の状況に鑑みれば、店がこの客に何らかの損害を加えたとは言えません。従って金銭の支払をする義務は全くないのです。

それでは、義務はないが穏便に済ますために多少の金員を支払うという考えはどうでしょうか。この考えは、間違いです。この客がもし、ゆすりや詐欺の犯罪グループのメンバーだとしたら、この会社のチェーンは次々同じような「事件」に遭遇し、同じように「多少の金員」を支払う羽目になるでしょう。つまり、理由のない金を払うことは、犯罪のターゲットにして下さいと言うようなものなのです。それではもしこの客が万引き犯ではなかったとしたらどうでしょう。二度とこの店に来てくれなくなるでしょうが、盗難防止装置がピーピー鳴っているのにさっさと店を出て行こうとして、所持品を改めさせてもらったら暗に金銭を要求してくるような客はこちらから願い下げのはずです。

本件は、当事務所が対応し、即日解決しました。企業が当事務所の顧問先でしたので、弁護士費用は発生しませんでした。

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