web事務所説明会

75期司法修習予定者の皆さん

来る10月11日18時から、WEBを利用して当事務所の説明会を行います。

櫻井からは事務所開設の経緯や事務所の特徴などを紹介します。

神山弁護士からは、神山弁護士自身が刑事弁護を志した経緯や事件に臨む姿勢などについて、東京電力殺人事件などの例を引きながらお話しします。

事務所説明会ではありますが、当事務所への入所を希望されていない方もご参加下さって結構です。参加希望の方は氏名と電話番号を明示の上

kobayashi@sakuragaoka.gr.jp宛にメールをお寄せください。追ってZOOMのご招待を差し上げます。

櫻井

2021年10月28日 (木)

75期弁護士採用面接のお知らせ

桜丘法律事務所では11月27日(土曜)午後に採用面接を実施します。応募される方は11月20日までに履歴書,志望理由書及び司法試験の合格通知を郵送または下記採用担当宛てメールにPDFで添付する方法でお送りください。

また,事務所訪問は随時受け付けていますので,ご希望の方はご連絡下さい。

採用についてメールでのお問い合わせにも応じています。お問い合わせも下記アドレス宛にお寄せ下さい。

採用担当 小林弁護士のアドレスは kobayashi@sakuragaoka.gr.jpです。

2021年9月23日 (木)

75期司法修習生の採用について

司法試験合格者の皆さん、合格おめでとうございます。

皆さんはどんな夢を抱いて法律家を志したのでしょうか。冬から始まる1年間の修習を経て、皆さんが受験生の頃思い描いていたような法律家の第一歩を踏み出せることを、私達も願っています。

私達の事務所はどんな事件でも扱う普通の事務所ですが、1つだけ、他の事務所とは大きく異なる特徴があります。それは、当事務所で採用した新人は、1年ないし2年のOJTを経た後、法テラスのスタッフ弁護士やひまわり基金法律事務所の弁護士として各地に赴任しなければならないきまりになっていることです。それは当事務所が司法過疎解消を目指す事務所として開設され、これまで多くの弁護士を司法過疎地に送ってきたことによります。どこの地に住む人に対しても、人権を保障したい、弁護士がいないことによって法による恩恵を受けられない人をなくしたいという思いからです。

事件の種類は多様です。分類的にはいわゆる「町弁」の事務所ですからどんな事件も扱います。

もう一つの特徴は刑事に強いことです。当事務所には東京電力OL殺人事件(再審無罪)や足利事件(再審無罪)などで著名な神山啓史弁護士が在籍しており、新人は厳しい指導を受けられるからです。

75期からは1名の採用を予定しています。また75期修習生向けには10月にWEBによる事務所説明会を計画しています。日程については決まり次第、ホームページで告知します。

興味のある方のご質問は随時受け付けておりますので、事務所の相談フォーム(一般の法律相談フォームで結構です)からお尋ねください。

(櫻井光政)

2021年7月 2日 (金)

あるオーバーステイ事件(2)

刑事事件と並行し、証人として協力してくれた元技能実習生から、相談を受けた。

友人で困っている人がいる、とのことだった。

彼は技能実習生として来日し、3年間の活動を終え、特定活動の資格で在留していた。給料は最低賃金でありあまりに安いため転職をしようと退職した。会社と合意のうえだった。

しかし、会社からは最終月の勤務分の給料が支払われなかった。それどころか、給料支払い日に、会社からお金を支払えとの通知が届いた。通知には、様々な名目で一方的に給料からお金を控除すること、控除で足りない分を支払えと書かれていた。

労働基準法は賃金全額払いの原則を定めており、使用者は労働者に対し賃金全額を支払わなければならない。労働者と労使協定等で合意していない限り、使用者が一方的に賃金から控除をすることなどできない。明らかな法律違反である。会社が控除の理由としている請求権自体根拠のないものであった。

会社に給料を支払うよう通知を送ったが、返答はなかった。彼が所属する組合に連絡したが、当事者間の問題なので組合は関与しない、とのことであった。労働基準監督署に通報したが、社長は賃金を直接取りに来ない限り支払わないと言っている、監督署からはそれ以上は言えない、とのことであった。彼は現在遠方に居住しているため、他の手段を取れないか考えた。

訴訟を起こそうにも、時間もかかり弁護士費用だけで足が出てしまうことは明らかだった。そんな時、事務所の先輩弁護士から先取特権に基づく債権差押命令申立の手段を教えてもらった。これは、判決を経ず、給与債権たる先取特権に基づき本差押えをする方法である。しかし、実務でこの手段を活用することはまだあまり多くないようだ。直接的な手段であるため、厳格な立証が要求されるからである。しかし、調べてみると、簡易かつ迅速な手段であり、近年裁判所の運用も柔軟になりつつあることがわかってきた。

彼は毎月出勤表に労働時間を記録しており、記録した労働時間を元に会社が月々の給料明細を作成していた。しかし、給料明細の時間外労働、深夜労働の計算方法は誤っていた。そこで誤った計算により支払われていない過去の時間外労働分、深夜労働分の未払賃金も請求することにした。残っている限りの過去の給料明細、出勤表を探してもらい、出勤表及び給料明細が揃っている証拠が固い月に絞って申立をした。報告書を作成し説明を補充した。

その結果、申立から20日程度で債権差押命令が発令された。補正や補充が求められるかもしれないと思っていたが、形式的な補正だけで済んだ。

元技能実習生は、困っている友人の役に少しでも立ちたいとの思いから刑事事件にも証人として出廷してくれた。

彼は自分の友人は困っている人たちばかりだと言っていた。勤務先で暴力を受けたり、賃金を支払ってもらえないことなど皆経験しているのだという。彼自身、職場で暴力を受けていた。作業中に、事故で怪我をしたのに何の保障も受けられなかった。仕事を辞め現在難民申請中である。理不尽な目に遭っている友人も皆、どうすればいいのか手段もわからず、結局何もできないという。

刑事事件の執行猶予判決が出て、被告人は在宅で帰国を待つこととなった。出てすぐに、彼らは私に連絡をくれ、郷土料理を振舞ってくれた。お金に余裕があるわけでもないのに、感謝の気持ちだといい、全額御馳走してくれた。その時は、気持ちは嬉しかったが、何もできていない自分が不甲斐なかった。今回、少しでも返すことができたのなら良かったと思う。

(北浦結花)

あるオーバーステイ事件(1)

国選の刑事事件で初めて外国人事件を受任した。オーバーステイ、偽造在留カード行使の事案だった。

被告人は、外国人技能実習生として来日したが、職場で何度も暴力を受け、耐えきれず逃走した。給料も低額だった。在留延長の手続もできぬままオーバーステイとなった。インターネットで仕事を探し、ネット上で知り合った人から言われるまま偽造在留カードを買い受けた。その後警察に職務質問をされた際、偽造在留カードを示し、逮捕された。

外国人技能実習制度は奴隷制度だと揶揄されることもある。技能実習のため、技能実習生は、本国の送出機関に手数料を支払う。日本円で約60万円の費用を借金してまで用立てる。彼らは、家族に仕送りをしたい、と夢や希望に溢れて来日する。しかし実情は厳しい。多くの技能実習性は最低賃金でこき使われる。時には規定労働時間を超えた深夜労働、時間外労働に従事させられる。月々の給料は手取りにして僅か10万円前後である。適切な残業代等が支払われないケースも多い。彼らは給料のほとんどを家族への仕送り、借金返済に費やす。

受け入れ企業の質も低い。就労は団体管理型(管理団体が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等で実習をする態様)が大半を占める。受け入れ先の業種は製造業、建設業、一部の農林水産業等に限定される。技能実習制度発足以降、時間外手当等の不払い、最低賃金法違反、賃金の不当控除等の事案が多く見られるようになった。それにとどまらず暴言、暴力、セクハラ、パワハラ等の人権侵害、在留カードの取り上げ、強制貯金、強制帰国といった人権侵害も問題となってきた。入管法の改正等により管理責任が強化されるなどの措置が取られてきたものの状況は改善していない。酷使、暴力、賃金の不払いなどはもとより、与えられる仕事も誰でもできる肉体労働等であり、技術を習得させることなど予定されていない。外国人技能実習制度は表向き外国人の技能の習得、これを通じた日本の技術の海外移転を目的とすると謳っているが、実体は人手不足を補う安価な労働力確保のための制度として利用されている。

あまりの過酷な労働環境、給料の低さから外国人技能実習生の失踪は後を絶たない。毎年5000~9000人の実習生が失踪している。組合等に相談しても実習先の変更はできない。ひとたび失踪してしまうと、入国管理局に出頭しても国に強制送還され、借金だけが残る。そのため失踪後、借金を返すまでは、と不法就労に従事したり、オーバーステイとなり、逮捕される技能実習生も多い。

 裁判では彼が職場で暴力を受け逃走に追い込まれたことを、当時相談を受けていた友人の証言等から立証した。しかし、裁判所は、事情はどうあれ日本の法律を軽視し、罪を犯したのであり悪質であると判示した。彼は審理中、法廷で終始震えていた。最終陳述で何度も頭を下げ、ごめんなさい、私が全部悪かったです、許してください、と拙い日本語で謝った。

 日本が作った制度で追い詰められたのではないか、と思った。このような制度が恥ずかしく申し訳なかった。

(北浦結花)

2021年2月28日 (日)

ダウンロードの違法化について

皆さんは違法にアップロードされた、漫画、動画、映像、音楽等を誤ってダウンロードしたことはありませんか。知らず知らずのうちに、違法な行為をしてしまっている人も少なくないかもしれません。今回は身近な問題であるダウンロードの違法化について取り上げたいと思います。

令和3年1月1日に改正著作権法が施行され、違法にアップロードされた著作物全般のダウンロードが違法とされました。著作権法は、一般に私的に利用する目的でのダウンロードを適法としていますが、違法にアップロードされた音楽や、映像のダウンロードについては、私的使用を目的とする場合であっても違法と定めています(3013号)。今回の改正では、音楽、映像だけでなく違法にアップロードされた著作物全般(漫画・書籍・論文・コンピュータプログラムなど)に規制対象が拡大されました。(30条1項4号)

但し、私的利用の場合の禁止の対象は、違法にアップロードされたことを知りながらダウンロードする場合のみとされました。違法にアップロードされたと知らないことに重大な過失があったとしても、禁止の対象にはなりません。(302項)

漫画の1コマ~数コマなど「軽微なもの」や、②二次創作・パロディ③「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」のダウンロードについても規制の対象外とされています。

刑事罰については、違法であることに加えて、正規版が有償で提供されていること、反復、継続してダウンロードを行うことが要件とされました。(119条第3項第2号、第5項等)法定刑は2年以下の懲役・200万円以下の罰金です。すべて親告罪であり、権利者による告訴が必要です。

先日、違法に漫画のアップロードを行っていたサイトの運営者が逮捕されたのは記憶に新しいと思います。情報化社会が進み、誰もがインターネットで簡単に著作物をアップロード、ダウンロードできるようになりました。悪質な違法アップロード、違法ダウンロードは後を絶ちません。これらの違法行為により、著作権者は、大きな被害を被っています。著作権法の改正は、こうした社会状況を背景に、著作者の権利を守るため、違法の対象、刑事罰を科す範囲を拡大する方向でされてきました。

しかし過剰な規制は人々の自由な情報収集、表現活動を委縮させることにもなります。

twitter、Instagram等のSNSでアニメ、漫画の画像や芸能人の写真をアップしたり、ダウンロードしている人も多いでしょう。権利者が承諾している場合には違法となりませんが、そうでなければ違法となる場合もあります。実務上、これらの行為が問題とされることはしばしば起こりますが、規制の存在は人々の表現活動を委縮させます。また、作品が伝えられることによって、作品の知名度や、人気が高まっていく面もあり、規制に消極的な意見もあります。

最近、スタジオジブリが、公式サイトで作品の場面の画像を無料ダウンロードできるように公開し、「常識の範囲内で」使用することを許可しました。反響はとても大きかったようです。

元の画像を無断で使用して利益を得ることは、権利者を害することになります。しかし「常識の範囲内で」、仲間内で楽しむために画像を使用することについてまで規制対象とするのは行きすぎのようにも思います。

法律により規制対象範囲を拡大することが抜本的な解決には繋がるかは疑問です。何より利用者一人一人に、著作権者を害するような行為には加担しない、という意識を持つことが求められています。

 (北浦)

2021年2月25日 (木)

健康第一

 

 

 つい最近のことです。椅子に座っていたら、腰に激痛が走りました。何かが神経に触れたような強烈な痛みでした。その翌日、父に運転してもらい、車で病院に行くと、医師に1週間は湿布を貼って動かないでくださいと言われました。どうやら筋肉を傷めたようでした。

 健康や健康を保つための休息は大切です。これは当たり前のことです。一方で、「あなたは健康に注意して生活し、意識的に休息を取っていますか」と聞かれると、黙り込んでしまう方が多いのではないでしょうか。私は黙り込みます。

 私は、人に「なぜ疲れているのに休まないのか」と聞かれたら、「仕事があるから」「あの人の方が頑張っているから」「まだ若い(と思う)から」休まないと答えると思います。

 しかし、体力、健康状態、疲れの感じ方は人それぞれです。人ではなく、自分の体調と相談し、休息をとることが大切です。私も頭ではわかっているのです。

 それでも、忙しいとなかなか休めません。どうすればいいのでしょうか。私は休めるときにしっかり休むしかないと思っています。忙しい時期が続いたら、そのあと少しゆっくりする時期を設けましょう。

 多少の無理なら誰でもできますが、無理を重ねるとどこかで必ず限界が来ます。その段階では健康にも大きな影響が出ているでしょう。健康第一です。適度に休みましょう。腰痛で1週間外出できなかった私は強くそう思います。

 皆様も健康第一で、適度に休息をとってください。

(弁護士 小林 竜也)

 

 

 

2021年2月16日 (火)

企業のクレーム対応(1)

 昔、欠陥自動車の裁判を何件も手掛けた。運輸省(当時)のメーカーに対するチェックが今ほど厳しくなかったこともあり、自動車の欠陥が原因で起きた事故でも、ユーザーの過失とされることが少なくなかった。

 しかし欠陥がある場合、大事故に至らぬまでも小さな事故や不具合はしばしば生じるものである。車の不具合を感じたユーザーは当然ディーラーに不調を告げる。そしてディーラーはその情報をメーカーに上げる。

 ここで大切なのは、そうした顧客からの苦情やクレームにどう対処するか、である。

実際、苦情やクレームは玉石混交だ。極端な話、難癖や、時には強請かと思われるようなクレームもある。正当なクレームであっても極めて不快な伝え方をしてくる顧客もいる。そうしたクレームばかりを目にしていると、何とか黙らせたいという方向にばかり目が向いてしまうこともあるだろう。しかしそれでは大事なところを誤ってしまうことになる。

 

かつて、あるメーカーの高級乗用車が走行中に走行不能になってしまうという欠陥の相談を受けたことがあった。ディーラーに見せても異常はないとされ、オーナーはクレーマー扱いされた。オーナーはやむなくディーラーを相手に訴訟を提起した。当該車両に対する構造や設計などの情報量は圧倒的にディーラーが勝る。ディーラーは当該メーカーの工場の品質管理がいかに優れているかを滔々と述べ立て、欠陥はないと断言した。原告の立証は困難を極めた。

そこで、代理人だった私は賭けに出た。欠陥現象は一定の条件下で生じていた。ならばその条件を整えて欠陥現象を再現し、それを検証の手続によって裁判官に見てもらおうと考えたのだ。

検証は、ある夏の暑い日に実施された。運転は私が行い、助手席に原告、後部座席には裁判官と被告代理人に同乗してもらった。そして裁判所の周辺道路を1周することにした。

結果は、半周したあたりで欠陥現象が生じた。エアコンの吹き出し口から水が噴き出し、エンジンが停止したのだ。惰性で動く車を道路端に寄せ、検証を終えた。

この事件の判決は、水戸地方裁判所日立支部で平成9年1月27日に言い渡された。判例データベースには、「自動車の瑕疵が認められ、売買契約の解除が肯定された事例」として紹介されている。

 

クレームに対して真摯に向き合うことの重要性を痛感させる判決だったと思う。因みにこのメーカーは、当時、消費者の声に耳を傾ける姿勢が他のメーカーに比べて著しく欠けていた。その後経営不振に陥り、外国の自動車メーカーの社長をトップに迎えざるを得なくなったのは、そうした姿勢で客にそっぽを向かれたからだと思っている。(櫻井)

2020年12月23日 (水)

SNS上の誹謗中傷の投稿者を特定するための「新たな裁判手続」について

 2020年12月21日付のNHKニュースにて、「SNS上のひぼうや中傷被害防止へ 新たな裁判手続きの創設決定」という報道がなされました。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201221/k10012775821000.html

  報道によれば、「フジテレビの番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラーの木村花さんが、SNS上でひぼう中傷を受ける中で自殺した問題をきっかけに、総務省の有識者会議が投稿した人の情報開示に関する検討を進め、21日の会合で新たな裁判手続きの創設を決めました」とのことで、この「新たな裁判手続」によってSNS上の誹謗中傷の投稿者に関する情報開示が「迅速に進められる」ということになっています。この「新たな裁判手続」を創設するようになった背景、及び現時点で分かっている内容について本ブログで紹介致します。

  総務省の有識者会議(発信者情報開示の在り方に関する研究会)は、今年の4月から12月まで11回行なわれており、議事の内容等についてもホームページ上で公開されています。「新たな裁判手続」の内容についても、リンク先の最終とりまとめ(案)の中で紹介されています。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/information_disclosure/index.html

 「新たな裁判手続」を創設するようになった背景としては、誹謗中傷の投稿者に関する情報開示の裁判手続の負担が大きすぎるという点があります。

 SNS上の誹謗中傷の投稿により権利侵害がなされていることが明白な場合でも、情報を有しているSNSの運営者や接続プロバイダは原則として裁判外では開示しません(特に海外の法人については、裁判所の決定がなければ開示することはないといって良いです)。そのため法的手続が必須となるのですが、その場合、(1)SNSの運営者に対して仮処分を申立てた上、仮処分の結果接続プロバイダからのアクセスに関する情報の開示を受ける(2)接続プロバイダに対して訴訟を行い、勝訴してプロバイダの契約者に関する情報の開示を得るという二回の裁判手続を経る必要があります。

 このように二回の裁判手続を要し時間も費用もかかることから、被害者にとっては非常に大きな負担となっています。また、時間を要している間に、接続プロバイダのログ保存期間を徒過し、時間切れで特定に至らないということも珍しくはありません。

 総務省の有識者会議で創設を決めた「新たな裁判手続」については、最終とりまとめ(案)によれば、次のような内容になるようです。

  • SNSの運営者に情報を開示させた上、接続プロバイダの発信者情報の保全を行い、接続プロバイダに情報を開示させるという一連の手続を一回で行なうようにする。
  • 現行法上の開示請求権を存置し、現行の手続(上記二回の裁判手続を経て特定させる)も維持する(被害者は手続を選択することができる)。
  • 開示する要件としては、現行法と同様(権利侵害の明白性が認められる場合)とする。

  「新たな裁判手続」について現在明らかになっている内容からしても、誹謗中傷の投稿者に関する情報開示の裁判手続の負担はかなり軽減されることになるでしょう。手続の詳細については今後更に検討されることになりますが、被害者のSNS上で誹謗中傷を受けて泣き寝入りする人が少しでも減るよう、実効的な手続を導入していただきたいものです。

弁護士 大窪和久

2020年11月19日 (木)

面会妨害

去る11月13日、東京地検特捜部が被疑者を任意に取調べ中、面会に訪れた弁護士の来訪を被疑者に取り次がず、面会を妨害した事件の国家賠償請求訴訟の判決がありました。その弁護士は外ならぬ私で、裁判所は国に慰謝料10万円の支払を命じました。

私が国賠にまで踏み切ったのは、誰よりも刑事訴訟法を熟知しているはずの特捜検事が、「弁護士には任意取調べ中の被疑者に面会する権利はなく、検察官はその来訪を取り次ぐ義務もない。」と言い放ったからです。

刑事訴訟法39条1項は、「身体拘束を受けている」被疑者被告人の接見交通権を定めています。検察官の理屈は、「身体拘束を受けていないから」接見交通権の保障はないのだというものでした。

取調べに応じていたAさんは、私の留守中、事務所に電話をかけてきて、桜丘法律事務所の誰でもいいので助言を受けたいと言っていました。ですから私の来訪を知れば必ず会いたいと希望したはずです。そうした事情を説明しても妨害は続きました。

被疑者と弁護人の接見交通権が重要な権利であることはいくつもの判例で確認されています。それを真っ向から否定するような言動をされては弁護人として引っ込むわけには行きません。検察官との議論は平行線で、時間稼ぎをされるだけだと思ったので、司法の場で明らかにしましょうと言って会話を終えました。

コロナが災いして期日の間隔があいてしまったことは残念でしたが、迅速な裁判を求め、2回の期日で弁論を終結し、判決を得ました。

公権力が理不尽な権利侵害を、それも目の前で行うとき、見過ごさないのが弁護士の矜持だと思います。

 

 

 

 

 

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