2020年7月 3日 (金)

新型コロナウイルス感染症に便乗した詐欺について

 新型コロナウイルスに便乗した詐欺事件が増加しています。朝日新聞の報道によれば、新型コロナウイルスに便乗した詐欺事件(未遂を含む)の被害は今年の3月上旬から517日までの間に、16都道府県で39件確認されており、被害額は約3550万円にのぼっているとのことです。

 典型的な手口としては、特定定額給付金の手続の代行を行なうのでATMに手数料の振り込みを求めるであるとか、申請手続のために口座番号・暗証番号等個人情報を聞き出すなどです。そもそも特定定額給付金の申請は市町村から各世帯へ郵便で送付される申請書に記入し申請するか、「マイナポータル」によるオンライン申請のいずれかしかありません。また、役所の担当者が申請手続のために手数料の振り込みを求めるであるとか、個人情報を聞き出すということは絶対にありません。

 上記のような電話やメールなどが来た場合、まず間違いなく詐欺ですので警察や消費生活センター等に相談することをお勧めいたします。また、仮に実際に手数料の振り込みを行なってしまったりした場合でも、早期の段階であれば振り込め詐欺救済法による銀行口座凍結等により、被害回復ができる場合もありますので、なるべく早めに相談にいくことをお勧めいたします。

 また、給付金等の支給を受けられると騙った偽サイトにも注意が必要です。既に行政機関を騙った偽サイトが多数存在しているようです。また、サイトだけではなく偽の申請アプリ等が出現する可能性も否定できません。これらのサイト等はクレジットカード情報等を取得した上でそれを盗用するためにつくられているものです。給付金の支給のためにクレジットカード情報を入力する必要はありませんので、絶対に入力しないで下さい。仮に入力してしまった場合でも、早期であればカード会社によるチャージバックの手続などにより被害を防げる場合もありますので、なるべく早めに警察や消費生活センター等に相談することをお勧めいたします。

 上記の手口以外にも、新型コロナウイルスに便乗した詐欺の発生することが懸念されています。不審な電話やメールがきたり、不審な人物が自宅に訪問してくるような場合には、その場で何かを決めるのではなく、家族、知人、あるいは消費生活センター等に相談しましょう。

弁護士 大窪和久

2020年5月26日 (火)

SNSでの誹謗中傷の投稿があったときにやってはならないこと

 インターネットに関する相談の中で、近年一番多いのがSNSによる誹謗中傷になります。SNSによる投稿は匿名で行うことができ、かつ匿名で行った投稿が誰のものかについては少なくともすぐには判明しないことから、それをいいことに誹謗中傷を行う人が後を絶ちません。

 SNSで誹謗中傷されたときに、やってはならないことがあります。それは「誹謗中傷の投稿に対してインターネット上で反応してSNSで投稿をしてしまうこと」です。

 誹謗中傷の投稿を行う人が期待しているのは、投稿の対象者が自分の投稿に対して何らかの反応をすることです。そしてその投稿を燃料として、更に誹謗中傷の投稿を重ねていくことになります。またその様子をみていた第三者が、加えて誹謗中傷の投稿を行い、炎上がどんどん続いていくことになります。誹謗中傷の投稿に対して反論を加えたくなる気持ちは理解できますが、かえってインターネット上の炎上を広げてしまう危険があります。

 また、誹謗中傷の投稿に対して、法的手続をとると言及することも実はリスクがあります。誹謗中傷の投稿の投稿者の特定を行うとしても、SNSの運営者やプロバイダに対して開示請求を行うにも時間がかかります。法的手続を実際に進めていたとしても、それが相手には分からないため、「口だけで何もしてこない」と書かれた上更に炎上してしまうことがあります。仮にインターネット上で誹謗中傷の投稿に対して法的手続の報告をとるとしても、投稿者を特定して法的手続をとった後にした方が無難です。

 SNSで誹謗中傷がされたときにはそれに対して反応してすぐ投稿を行うよりも、運営者に対して誹謗中傷の報告を行ったり、法的手続をとることの方が効果的です。法的手続を弁護士に依頼すれば投稿削除や被害回復へ繋げていくこともできますので、まず弁護士に相談されることをお勧めいたします。

(弁護士 大窪 和久)

2020年5月 7日 (木)

5月の神山ゼミ開催中止について

5月の神山ゼミは,コロナウイルス感染防止のため中止といたします。

今後のゼミの日程については再開時期が決定次第改めてご連絡させていただきます。

何卒ご了承いただきますようお願いいたします。

 

2020年4月30日 (木)

コロナによるキャンセルの返金問題

 最近、コロナ騒動によるイベント等の中止に伴って、代金の返還が問題になることが多いようです。

 代金を返還してもらえるかどうかは、以下の分別で判断します。

1 完全にコロナによってイベント等ができなくなった場合

 例として、留学や旅行で海外に行く予定になっていたのに、コロナによって海外が日本人の受け入れを中止したようなケースです。

 これは、業者が債務を提供できないのは完全に不可抗力です。よって、民法上の危険負担という考え方が適用されます。即ち、業者は債務を提供しなくてもいいですが、消費者も費用を支払う必要がありません。よって、原則は全額返金を求めることができます。

 但し、契約書等に不可抗力の場合の処理方法が記載されていれば、原則は契約書等の記載が優先されます。もっとも、規定があまりに消費者の利益を一方的に害するような内容になっていれば、消費者契約法上、争う余地があります。また、契約書等に記載があるのではなく、一方的に通知されたものに過ぎない場合も、消費者の同意がなかったものとして争うことができます。

2 コロナによるキャンセルとは言えない場合

 例として、業者側はイベント等を開いているのに、消費者側が三密空間に行きたくないという理由でキャンセルしたようなケースです。

 業者は債務を提供しているのに、消費者側が自身の判断でキャンセルしたわけですから、この場合のキャンセルは消費者側の責任ということになります。よって、キャンセルポリシーに従った処理がされます。但し、そのキャンセルポリシーがあまりに消費者の利益を一方的に害するようなものである場合は、1と同様、争うことができます。

3 コロナによってイベント等ができなくなったと言えるかどうかが微妙な場合

 例として、政府から自粛を求められたので、業者がこれを受けてイベント等を中止したようなケースです。

 自粛はあくまで自己判断によるものですから、業者が債務を提供できないのは必ずしも不可抗力とは言えません。そうであれば、不可抗力の規定の有無にかかわらず、消費者は債務不履行を主張して、費用の払い戻しは勿論、これによって発生したその余の損害(例えば遠方の会場までの交通手段のキャンセル料等)まで支払を求めることができそうです。

 とはいえ、状況次第では不可抗力に限りなく近いと言え、上記1に近付くことも多いでしょう。緊急事態宣言下の自粛であれば、不可抗力に当たる可能性は高いと考えられます。

(石丸 文佳)

2020年4月 7日 (火)

お知らせ

日ごろの当事務所のご利用ありがとうございます。

さて,新型コロナウィルスが猛威を振るう中,当事務所は,感染防止のため,4月7日より5月6日まで事務職員の出勤を停止しました。またこの間は,面接でのご相談は極力避け,電話やメールでのご相談に代替させることといたしました。

そのため今後しばらくは,ご不便をお掛けすることがあるやもしれませんが,ご理解のほど賜りたく,宜しくお願い致します。

なお,緊急を要する案件についてはこれまで通り,面談,現場急行等の対応も致しますので,躊躇なくご連絡下さい。

また,期間中の各弁護士との連絡方法については,それぞれの弁護士にお問い合わせ下さい。(特に連絡がない限り通常の連絡方法で連絡が付きますのでご安心ください。)

我が国における大流行はこれからだとも言われています。

皆様も,くれぐれも健康に留意されますよう,お祈り申し上げます。

桜丘法律事務所 代表弁護士 櫻井光政

 

 

2020年4月 2日 (木)

4月22日神山ゼミ中止のお知らせ

4月22日に開催を予定しておりました神山ゼミですが,コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため,中止とさせていただきます。

ご参加をご検討いただいていた皆様にはご迷惑をお掛けし申し訳ありません。

大変残念ではありますが,何卒ご理解の程よろしくお願いいたします。

 

2020年4月 1日 (水)

逃亡者密告制度の新設に反対する

 最高裁刑事局では,ゴーン氏の逃亡以来,保釈された被告人の逃亡に何らかの歯止めの必要があるとの認識から逃亡者密告制度の導入を検討している,との情報が本日令和2年4月1日,寄せられた。検察庁からの強い要請に最高裁判所が折れた形だ。現下の情勢では国会で審議されればさしたる抵抗もなく成立する見通しだとのことだ。

 逃亡者密告制度は,悪名高い出入国管理及び難民認定法(通称「入管法」)62条,66条を保釈逃亡者の密告に取り入れようとするものだ。入管法62条は何人も退去強制の対象となる外国人を通報できるという規定で,66条は,通報の結果退去強制令書が発布されたときは法務大臣が通報者に報奨金を与えることができるという,密告者に褒美を与える制度だ。現在これを刑事訴訟法改正として取り入れるのか単独の立法によることにするのかの検討の段階に来ているとのことだ。

 いずれにせよ,法改正によって,保釈中の逃亡者を密告した者に褒美を与えて密告を奨励しようとするのだから呆れた話である。人を見たら泥棒と思えというような,人心荒廃を助長するのみならず,虚偽の密告によって他人を陥れる輩が出て来ないとも限らない。そもそもこんな法改正をしても,ゴーン氏のような逃亡は防げないし,意味がない。

 正式に公表された暁には文書をもって反対の意見を表明するつもりだが,とりあえずは神山弁護士を通じて内々に検察と最高裁の幹部に意向を伝えるに止めたが,こうした,国民相互を監視させようとする試みには断固反対したい。

 (4月1日櫻井記)

 

2020年3月18日 (水)

消滅時効の期間が変更されます

 2020年4月1日より改正民法が施行されます。今回の改正は大規模改正であり多くの点が変わっておりますが、その中でも特に気をつけておく必要のある消滅時効の期間の変更について簡単に説明致します。

 1 消滅時効期間の変更

 消滅時効とは、権利を行使しないまま一定期間が経過した場合に、その権利を消滅させる制度です。これまでは、原則として「権利を行使することができる時から10年」経過した場合に消滅時効が成立することになっていました。但し、例外が多数定められていました。例えば飲み屋のツケは1年で時効が成立したり、弁護士報酬については2年で時効が成立するということになっていたのです。

 改正後は、シンプルに統一化し、消滅時効期間は原則として「権利を行使することができることを知った時から5年、または権利を行使することができる時から10年」となりました。例えば貸金の場合、契約上返済期限は定まっているのが通常ですから、返済期限がきてから5年間経過してしまうと消滅時効が成立してしまい貸主が返済を求めることができなくなってしまいます。

2 生命・身体の損害による損害賠償請求権の時効期間の特則

 法改正により、生命・身体の損害が生じた場合の損害賠償請求については、通常より時効期間を延長させる(消滅時効期間を「権利を行使することができることを知った時から5年、または権利を行使することができる時から20年」とする)という特則が設けられました。詳しくは下記の通りです。

(1)契約責任に基づく損害賠償請求の場合

 例えば、会社で従業員が過労死し、会社は過大な労働をさせたとして契約上の安全配慮義務違反があったとして従業員の遺族に損害賠償しなければならないとします。前記の通り法改正後の消滅時効期間は原則「権利を行使するができることを知った時から5年、または権利を行使することができる時から10年」ですが、このケースのように契約上の義務違反により生命・身体の損害が生じた場合には、「権利を行使することができることを知った時から5年、または権利を行使することができる時から20年」の間は消滅時効が成立しないことになります。

(2)不法行為に基づく損害賠償請求の場合

 例えば、自動車事故により被害者が亡くなり、運転者側が被害者の遺族に対し損害賠償しなければならないとします。自動車事故のような不法行為の損害賠償請求の時効期間は原則「権利を行使することができることを知った時から3年、または権利を行使することができる時から20年」ですが、生命・身体の損害が生じた場合には、法改正により上記契約責任の場合同様「権利を行使することができることを知った時から5年、または権利を行使することができる時から20年」の間は消滅時効が成立しないことになります。

 3 消滅時効については、2020年4月1日の法施行日の前に生じた債権、および施行日以後に生じた債権でもその原因である法律行為が施工日前になされていたものについては、改正前の民法の時効期間が適用されることになります。

 よって2020年4月1日以降、消滅時効期間がどうなるかについては契約時期等により異なることになりますので注意が必要です。

 

桜丘法律事務所 弁護士 大窪 和久

2020年3月 9日 (月)

3月,4月の神山ゼミのお知らせ

【3月】

日時:3月19日(木)午後6時から午後8時頃まで

場所:伊藤塾東京校204教室

 

【4月】

日時:4月22日(水)午後6時30分~午後8時30分頃まで

場所:伊藤塾東京校203教室

https://www.itojuku.co.jp/itojuku/school/tokyo/index.html

 

【備考】

法曹,修習生,学生に開かれた刑事弁護実務に関するゼミです。 刑事弁護を専門にする神山啓史弁護士を中心に,現在進行形の事件の報告と議論を通して刑事弁護技術やスピリッツを磨いていきます。

特に,実務家の方からの,現在受任している事件の持込相談を歓迎いたします。

方針の相談や,冒頭陳述・弁論案の批評等,弁護活動にお役立ていただければと思います。

なお,進行予定を立てる都合上,受任事件の持込相談がある場合には,参加連絡の際にその旨お伝えください。

参加を希望される方は予めメールにて,下記の事項を北浦結花(kitaurasakuragaoka.gr.jp)までご連絡下さるようお願いします。

※スパム対策として,@を全角にしています。半角の@に変換して送信してください。

 

[件名]3月の神山ゼミ(4月の神山ゼミ)

[内容]

・氏名:

・メールアドレス:

・持込相談の事件がある場合にはその旨

皆様のご参加をお待ちしています。

2020年2月24日 (月)

応召義務に関する新たな通知が発出されました

医師の「応召義務」という言葉は、よく耳にする割には、その義務の範囲がはっきりせず、言葉が一人歩きしているところもあったように思います。

 

ところで、昨今の働き方改革では、医師についても労働時間の規制が議論されています。もし、応召義務を「いつでも、誰からでも、診療を求められたらそれに応じる義務がある」というような理解をしてしまうと、医師に無制限の労働の義務を課すことになり、働き方改革の考えと抵触してしまいます。そのため、医師の応召義務をどのように整理するかが問題となっていましたが、昨年12月に厚生労働省より応召義務に関する新たな通知が発出されました。

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000581246.pdf

 

新たな通知では、診療を求められた時間帯や、患者の容態等の緊急性の有無といった観点から場合分けをして応召義務の有無を検討していますが、注目されるのは、「医師と患者間との信頼関係の有無」という観点からも応召義務の有無を整理した点です。

一般的に信頼関係がこじれる場面として想定されているのは、患者側の態度(迷惑行為)とお金に関して問題が生じた場面です。患者の迷惑行為を理由とした診療の拒否ができる場合の例としては、患者側が診療内容そのものとは関係のないクレームを繰り返し行う場合をあげています。

他方、単に過去の医療費に不払いがあるだけでは、それのみを理由に診療を拒否することはできないとしています。医療費の不払いを理由に診療を拒否できるのは、支払い能力があるのに悪意を持って支払いを拒否したり、支払い能力がないのに医学的な治療を要さない保険適用外の診療を求めるような場合等、正当化される場面を限定的に整理しています。

 

ただ、中には、問題の原因が複合的になっていて、医師側としては診療を拒んでも問題がないケースなのか否かが判別し難いということもあると思います。医業は、法律による規制だけでなく、厚生労働省の種々のガイドラインとの適合も求められるため、最近は、常勤の弁護士を院内においている医療法人も徐々に増えてきました。

クリニック・病院のガバナンスの相談相手としても、弁護士を利用されることをお勧めします。

(小堀 惇)

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