2020年4月 2日 (木)

4月22日神山ゼミ中止のお知らせ

4月22日に開催を予定しておりました神山ゼミですが,コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため,中止とさせていただきます。

ご参加をご検討いただいていた皆様にはご迷惑をお掛けし申し訳ありません。

大変残念ではありますが,何卒ご理解の程よろしくお願いいたします。

 

2020年4月 1日 (水)

逃亡者密告制度の新設に反対する

 最高裁刑事局では,ゴーン氏の逃亡以来,保釈された被告人の逃亡に何らかの歯止めの必要があるとの認識から逃亡者密告制度の導入を検討している,との情報が本日令和2年4月1日,寄せられた。検察庁からの強い要請に最高裁判所が折れた形だ。現下の情勢では国会で審議されればさしたる抵抗もなく成立する見通しだとのことだ。

 逃亡者密告制度は,悪名高い出入国管理及び難民認定法(通称「入管法」)62条,66条を保釈逃亡者の密告に取り入れようとするものだ。入管法62条は何人も退去強制の対象となる外国人を通報できるという規定で,66条は,通報の結果退去強制令書が発布されたときは法務大臣が通報者に報奨金を与えることができるという,密告者に褒美を与える制度だ。現在これを刑事訴訟法改正として取り入れるのか単独の立法によることにするのかの検討の段階に来ているとのことだ。

 いずれにせよ,法改正によって,保釈中の逃亡者を密告した者に褒美を与えて密告を奨励しようとするのだから呆れた話である。人を見たら泥棒と思えというような,人心荒廃を助長するのみならず,虚偽の密告によって他人を陥れる輩が出て来ないとも限らない。そもそもこんな法改正をしても,ゴーン氏のような逃亡は防げないし,意味がない。

 正式に公表された暁には文書をもって反対の意見を表明するつもりだが,とりあえずは神山弁護士を通じて内々に検察と最高裁の幹部に意向を伝えるに止めたが,こうした,国民相互を監視させようとする試みには断固反対したい。

 (4月1日櫻井記)

 

2020年3月18日 (水)

消滅時効の期間が変更されます

 2020年4月1日より改正民法が施行されます。今回の改正は大規模改正であり多くの点が変わっておりますが、その中でも特に気をつけておく必要のある消滅時効の期間の変更について簡単に説明致します。

 1 消滅時効期間の変更

 消滅時効とは、権利を行使しないまま一定期間が経過した場合に、その権利を消滅させる制度です。これまでは、原則として「権利を行使することができる時から10年」経過した場合に消滅時効が成立することになっていました。但し、例外が多数定められていました。例えば飲み屋のツケは1年で時効が成立したり、弁護士報酬については2年で時効が成立するということになっていたのです。

 改正後は、シンプルに統一化し、消滅時効期間は原則として「権利を行使することができることを知った時から5年、または権利を行使することができる時から10年」となりました。例えば貸金の場合、契約上返済期限は定まっているのが通常ですから、返済期限がきてから5年間経過してしまうと消滅時効が成立してしまい貸主が返済を求めることができなくなってしまいます。

2 生命・身体の損害による損害賠償請求権の時効期間の特則

 法改正により、生命・身体の損害が生じた場合の損害賠償請求については、通常より時効期間を延長させる(消滅時効期間を「権利を行使することができることを知った時から5年、または権利を行使することができる時から20年」とする)という特則が設けられました。詳しくは下記の通りです。

(1)契約責任に基づく損害賠償請求の場合

 例えば、会社で従業員が過労死し、会社は過大な労働をさせたとして契約上の安全配慮義務違反があったとして従業員の遺族に損害賠償しなければならないとします。前記の通り法改正後の消滅時効期間は原則「権利を行使するができることを知った時から5年、または権利を行使することができる時から10年」ですが、このケースのように契約上の義務違反により生命・身体の損害が生じた場合には、「権利を行使することができることを知った時から5年、または権利を行使することができる時から20年」の間は消滅時効が成立しないことになります。

(2)不法行為に基づく損害賠償請求の場合

 例えば、自動車事故により被害者が亡くなり、運転者側が被害者の遺族に対し損害賠償しなければならないとします。自動車事故のような不法行為の損害賠償請求の時効期間は原則「権利を行使することができることを知った時から3年、または権利を行使することができる時から20年」ですが、生命・身体の損害が生じた場合には、法改正により上記契約責任の場合同様「権利を行使することができることを知った時から5年、または権利を行使することができる時から20年」の間は消滅時効が成立しないことになります。

 3 消滅時効については、2020年4月1日の法施行日の前に生じた債権、および施行日以後に生じた債権でもその原因である法律行為が施工日前になされていたものについては、改正前の民法の時効期間が適用されることになります。

 よって2020年4月1日以降、消滅時効期間がどうなるかについては契約時期等により異なることになりますので注意が必要です。

 

桜丘法律事務所 弁護士 大窪 和久

2020年3月 9日 (月)

3月,4月の神山ゼミのお知らせ

【3月】

日時:3月19日(木)午後6時から午後8時頃まで

場所:伊藤塾東京校204教室

 

【4月】

日時:4月22日(水)午後6時30分~午後8時30分頃まで

場所:伊藤塾東京校203教室

https://www.itojuku.co.jp/itojuku/school/tokyo/index.html

 

【備考】

法曹,修習生,学生に開かれた刑事弁護実務に関するゼミです。 刑事弁護を専門にする神山啓史弁護士を中心に,現在進行形の事件の報告と議論を通して刑事弁護技術やスピリッツを磨いていきます。

特に,実務家の方からの,現在受任している事件の持込相談を歓迎いたします。

方針の相談や,冒頭陳述・弁論案の批評等,弁護活動にお役立ていただければと思います。

なお,進行予定を立てる都合上,受任事件の持込相談がある場合には,参加連絡の際にその旨お伝えください。

参加を希望される方は予めメールにて,下記の事項を北浦結花(kitaurasakuragaoka.gr.jp)までご連絡下さるようお願いします。

※スパム対策として,@を全角にしています。半角の@に変換して送信してください。

 

[件名]3月の神山ゼミ(4月の神山ゼミ)

[内容]

・氏名:

・メールアドレス:

・持込相談の事件がある場合にはその旨

皆様のご参加をお待ちしています。

2020年2月24日 (月)

応召義務に関する新たな通知が発出されました

医師の「応召義務」という言葉は、よく耳にする割には、その義務の範囲がはっきりせず、言葉が一人歩きしているところもあったように思います。

 

ところで、昨今の働き方改革では、医師についても労働時間の規制が議論されています。もし、応召義務を「いつでも、誰からでも、診療を求められたらそれに応じる義務がある」というような理解をしてしまうと、医師に無制限の労働の義務を課すことになり、働き方改革の考えと抵触してしまいます。そのため、医師の応召義務をどのように整理するかが問題となっていましたが、昨年12月に厚生労働省より応召義務に関する新たな通知が発出されました。

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000581246.pdf

 

新たな通知では、診療を求められた時間帯や、患者の容態等の緊急性の有無といった観点から場合分けをして応召義務の有無を検討していますが、注目されるのは、「医師と患者間との信頼関係の有無」という観点からも応召義務の有無を整理した点です。

一般的に信頼関係がこじれる場面として想定されているのは、患者側の態度(迷惑行為)とお金に関して問題が生じた場面です。患者の迷惑行為を理由とした診療の拒否ができる場合の例としては、患者側が診療内容そのものとは関係のないクレームを繰り返し行う場合をあげています。

他方、単に過去の医療費に不払いがあるだけでは、それのみを理由に診療を拒否することはできないとしています。医療費の不払いを理由に診療を拒否できるのは、支払い能力があるのに悪意を持って支払いを拒否したり、支払い能力がないのに医学的な治療を要さない保険適用外の診療を求めるような場合等、正当化される場面を限定的に整理しています。

 

ただ、中には、問題の原因が複合的になっていて、医師側としては診療を拒んでも問題がないケースなのか否かが判別し難いということもあると思います。医業は、法律による規制だけでなく、厚生労働省の種々のガイドラインとの適合も求められるため、最近は、常勤の弁護士を院内においている医療法人も徐々に増えてきました。

クリニック・病院のガバナンスの相談相手としても、弁護士を利用されることをお勧めします。

(小堀 惇)

2020年2月15日 (土)

保釈について

昨今、逮捕とは被害者感情を慮った懲罰である、あるいは保釈は反省に伴う恩恵であるというような誤解が世間では罷り通っているようです。しかし、法はそのような定めになっていません。この段階ではまだ無罪推定が働いているからです。そこで、今回は保釈について改めて説明したいと思います。

保釈というのは、起訴「後」に保釈保証金を積んで被告人の身柄を釈放することができるという制度です。ですから、起訴される前の逮捕勾留段階では保釈は使えません。また、裁判で実刑判決が下れば保釈は取り消され、身柄は拘束されます。金で自由を買うかのような言い方をされることがありますが、その自由は判決が出るまでの暫定的なもので、保釈金はいわばその担保です。

この保釈という制度には、権利保釈と裁量保釈の2つがあります。前者は、条件を満たしていれば保釈「しなければならない」もので、後者は「裁量で」保釈を認めるというものです。

権利保釈の条件は、以下6点です。

  • 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものではないこと。
  • 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがないこと。
  • 被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものでないこと。
  • 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がないこと。
  • 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由がないこと。
  • 被告人の氏名及び住居が判明していること。

つまり、住所氏名がわかっていて、重い前科がなく、逮捕勾留された事件も重罪犯罪ではないのなら、権利保釈の条件は「常習犯でないこと」と「証拠隠滅や口裏合わせをしないこと」だけなのです。

しかも、保釈は起訴後、つまり取調べが全て終了し、裁判を待つばかりの段階になって初めて可能になる制度です。捜査が全て終わっている段階ですから、捜査機関は既に全ての証拠を手中にしているのであり、今更証拠隠滅も口裏合わせもあり得ない段階にあるのです。そうであれば、この段階で行われるかもしれない証拠隠滅や口裏合わせなど、現実にはほとんど想定できません。

実際には、以上の条件を満たした後に、保釈金を納めることで釈放されますので、事実上の資金条件もありますが、実は逃亡しないこと自体は条件ではありません。逃亡しないことの担保は、お金で図られているのです。 

以上から、お金さえ納められればほとんどの事案で保釈は認められて然るべきというのが本来の保釈の在り方であり、そこに被害者感情や反省はおろか、途中で否認に転じたところで、そんなことは保釈に影響するものではないのです。

とはいえ、保釈を通すには相応の理論武装と物証が必要になるというのが、残念ながら現在の保釈実務です。無罪推定が及んでいる者の権利の確保は、今後も粘り強く取り組んでいくべき課題と言えます。

(石丸 文佳)

2020年1月28日 (火)

遺留分について法改正がなされた点及び注意点

 近時民法など相続に関する法律が大きく改正され相続に関するルールが変わっています。この記事では2019年7月1日の法施行により内容が変わった遺留分について、改正がなされた点及び注意点を簡単に説明します。

 1 遺留分について変わった点1 遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求へ

 遺留分とは、亡くなった人(被相続人)の相続財産について、被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人に法律上最低限保証された相続分のことを指します。

 この遺留分を侵害された場合、法改正前には相続人は「遺留分減殺請求権」を行使することができ、遺言による贈与自体が一部無効になるという効果が生じます。その結果、不動産が共有となってしまい、その後問題の解決の為に不動産の共有物分割請求という手続をとる必要がありました。

 このため、例えば被相続人が事業承継のため子どもに事業財産を遺贈した場合、それを良く思わない他の相続人から遺留分減殺請求がなされることによって、事業財産が共有になってしまい事業承継が上手くいかないといった事態が生じたりしていました。

 このような事態を解消するため、法改正により2019年7月1日以降に亡くなった人の関係では、遺留分が侵害された場合には「遺留分侵害額請求権」を行使することができるとされ、遺留分の侵害額に相当する金銭の請求をすることができることに変更されました。したがって、前記のような場合事業財産の共有という事態は生じなくなりました。もっとも金銭請求のみという形に変わったことで、支払が難しいという人が出てくることにも配慮して、裁判所が支払について相当の期限を許与することができるという条文も新設されてます。

 2 遺留分について変わった点2 遺留分算定方法の見直し

 遺留分を算定するための財産価額は、法改正前には次のように算定していました。

遺留分を算定するための財産価額

=相続開始時の資産-負債+相続人への生前贈与額(期間制限なし)+第三者への生前贈与(原則1年以内)

 しかし、法改正により2019年7月1日以降に亡くなった人の関係では、相続人への生前贈与について原則として相続開始の10年前からに限定されることになったので、法的な安定性が増しました。

3 遺留分についての注意点

 上記の通り、2019年7月1日より前か後かによって、遺留分によって請求できる権利の内容が変わりましたので、権利行使については留意する必要があります。

 また、遺留分については相続の開始及び遺留分を侵害する行為があることを知ったときから1年で消滅時効にかかり、権利行使できなくなるということは特に注意すべきことで、これは法改正によって変更はありません。ただ、法改正により遺留分侵害額請求権を行使した結果、金銭債権が生じることになりますが、この金銭債権についても消滅時効の問題があることには気をつける必要があります。金銭債権の消滅時効についても民法改正があり、改正法施行の2020年4月1日より前は10年と定められていますが、それ以降は5年と半分になってしまいます(なお、消滅時効の改正については別途記事を書く予定です)。

 遺留分については金額の算定等難しい点もありますので、権利行使を検討する際には予め弁護士に相談することをお勧めいたします。

桜丘法律事務所 弁護士 大窪 和久

2019年12月26日 (木)

1月,2月の神山ゼミのお知らせ


神山ゼミを以下の要領で行います。

 

【1月】

日時:1月14日(火)午後6時から午後8時頃まで

場所:伊藤塾東京校202教室

 

【2月】

日時:2月21日(金)午後6時午後8時頃まで

場所:伊藤塾東京校202教室

https://www.itojuku.co.jp/itojuku/school/tokyo/index.html

 

【備考】

法曹,修習生,学生に開かれた刑事弁護実務に関するゼミです。 刑事弁護を専門にする神山啓史弁護士を中心に,現在進行形の事件の報告と議論を通して刑事弁護技術やスピリッツを磨いていきます。

特に,実務家の方からの,現在受任している事件の持込相談を歓迎いたします。

方針の相談や,冒頭陳述・弁論案の批評等,弁護活動にお役立ていただければと思います。

なお,進行予定を立てる都合上,受任事件の持込相談がある場合には,参加連絡の際にその旨お伝えください。

参加を希望される方は予めメールにて,下記の事項を北浦結花(kitaurasakuragaoka.gr.jp)までご連絡下さるようお願いします。

※スパム対策として,@を全角にしています。半角の@に変換して送信してください。

 

[件名]1月の神山ゼミ(2月の神山ゼミ)

[内容]

・氏名:

・メールアドレス:

・持込相談の事件がある場合にはその旨

皆様のご参加をお待ちしています。


2019年12月 9日 (月)

配偶者居住権について

 近時民法など相続に関する法律が大きく改正され相続に関するルールが変わっています。この記事では2020年4月1日より施行される配偶者居住権について簡単に説明します。

1 配偶者居住権について

 配偶者居住権とは、配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、原則として終身その建物に住み続けることができるという権利です。

 改正前に、配偶者が被相続人所有の建物に住み続けるためにはその建物の権利を得るというのが通常でしたが、その場合相続財産の分割で支障がでることがありました。

 例えば、相続人が妻及び子1人のみで、被相続人の遺産が自宅(評価額4000万円)及び預貯金が500万円だった場合、妻と子の相続分は1対1(妻2250万円、子2250万円)ということになります。妻が自宅に住み続ける場合自宅の権利を引き継ぐことになるのが通常ですが、預貯金が500万円しかありませんので、子が自分の相続分が足りないと不満に思い相続財産分割の審判を申立てる可能性があります。そして審判において自宅の売却が決まってしまい、結果妻が住まいを失うということにもなりえます。

 配偶者居住権が新設されたことにより、配偶者居住権は妻、同権利の負担付き自宅の所有権を子が取得するということができるようになりました。配偶者居住権の価値が2000万円だとすると、負担付き所有権の価値は2000万円となり、預貯金を250万円ずつ取得すれば法定相続分通りの相続でも妻が住まいを失うことにはなりません。

2 配偶者居住権の定め方

 配偶者居住権については、被相続人が遺言で妻に権利を遺贈するという形等で、被相続人が内容を定めることができます。

 被相続人が遺言で配偶者居住権について決めていなかったとしても、相続人間で協議して配偶者居住権について定めることができます。また相続人間で協議してまとまらなかった場合でも、遺産分割の審判を行う家庭裁判所が、妻の希望や妻の生活を維持するための必要性の高さなどを考慮して定めることができます。

3 配偶者居住権の注意点

 配偶者居住権で一点注意すべき所は、この権利について登記をしておかないと、建物の所有権を得た第三者にその権利を主張できなくなるという点です。例えば先の例で妻と子が協議を行い、自宅の配偶者居住権を妻が得た後で、子がその自宅を第三者に売却してしまったとします。この場合妻が配偶者居住権についてあらかじめ登記をしておかなかった場合、自宅の所有権を手に入れた第三者に権利を主張できず、自宅に住み続けることができないということになってしまいます。登記をしておかなければいけないという点は特に注意しておく必要があります。

 配偶者居住権は全く新しい制度ですので、遺言作成や相続財産分割の際どのように定めるか分からないということもあると思います。ご不明な点があればお近くの法律事務所に相談されることをおすすめいたします。

桜丘法律事務所 弁護士 大窪 和久

2019年12月 2日 (月)

遺言に関する見直しについて

 近時民法など相続に関する法律が大きく改正され相続に関するルールが変わっています。この記事では遺言に関して変わったところについて簡単にまとめていきます。

1 自筆証書遺言(自分自身で書く遺言)の作成方法

 自筆証書遺言は法律上で作り方が定められており、それに従わない遺言は効力が認められません。

 従前は、自筆証書遺言については、財産目録を含めた全文を自書した上、日付と氏名を明記し押印したものでなければなりませんでした。法律改正後は遺言本文に添付する財産目録については、自筆ではなくても良いことになり、パソコン等で作成した目録を遺言に添付することができるようになりました。また、不動産の登記事項証明書、預貯金通帳のコピーなどを添付して目録として使用することも可能になりました。

 なお、偽造防止の為、自書によらない財産目録については、各ページに署名押印をしなければいけないことになっています。

2 法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設

 2020年7月より自筆証書遺言を作成した人は法務局に遺言書の保管を申請することができるようになります。これまで自筆証書遺言は自宅に保管したり貸金庫に預けたりするような形で自分に保管するのが通常でしたが、それを公的機関である法務局で預かってくれるようになります。

 被相続人本人が亡くなった後、遺言書が保管されているかどうかについて相続人が法務局に問い合わせて調べることもできます。遺言書が保管されている場合には遺言書の閲覧をしたり、写しを交付してもらうこともできます。

3 遺言執行者人の権限の明確化

 遺言執行者とは、遺言の内容を正確に実現させるために必要なことを行う人を指し、遺言の中で被相続人本人が指定することができます。

 旧法では抽象的な規定のみでしか遺言執行者の権限については定められておらず、裁判例により具体化されていました。今回の法改正により遺言執行者の法的地位及び権限が法律上明確にされました。

 また、遺言執行人は財産目録を作成した上で遺言の内容を相続人に知らせることが義務とされました。このことにより、相続人は自分の相続内容について把握しやすくなりました。

 遺言制度に関する見直しが行われたことにより、以前より遺言による相続がやりやすくなりました。遺言の作成等ご不明な点があればお近くの法律事務所に相談されることをおすすめいたします。

桜丘法律事務所 弁護士 大窪 和久

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