2021年2月25日 (木)

健康第一

 

 

 つい最近のことです。椅子に座っていたら、腰に激痛が走りました。何かが神経に触れたような強烈な痛みでした。その翌日、父に運転してもらい、車で病院に行くと、医師に1週間は湿布を貼って動かないでくださいと言われました。どうやら筋肉を傷めたようでした。

 健康や健康を保つための休息は大切です。これは当たり前のことです。一方で、「あなたは健康に注意して生活し、意識的に休息を取っていますか」と聞かれると、黙り込んでしまう方が多いのではないでしょうか。私は黙り込みます。

 私は、人に「なぜ疲れているのに休まないのか」と聞かれたら、「仕事があるから」「あの人の方が頑張っているから」「まだ若い(と思う)から」休まないと答えると思います。

 しかし、体力、健康状態、疲れの感じ方は人それぞれです。人ではなく、自分の体調と相談し、休息をとることが大切です。私も頭ではわかっているのです。

 それでも、忙しいとなかなか休めません。どうすればいいのでしょうか。私は休めるときにしっかり休むしかないと思っています。忙しい時期が続いたら、そのあと少しゆっくりする時期を設けましょう。

 多少の無理なら誰でもできますが、無理を重ねるとどこかで必ず限界が来ます。その段階では健康にも大きな影響が出ているでしょう。健康第一です。適度に休みましょう。腰痛で1週間外出できなかった私は強くそう思います。

 皆様も健康第一で、適度に休息をとってください。

(弁護士 小林 竜也)

 

 

 

2021年2月17日 (水)

74期修習予定者の皆さん

桜丘法律事務所では毎年2~3回事務所説明会を行っておりましたが、今年は新型コロナウィルス感染予防のため、一堂に会しての事務所説明会は行いません。事務所の概要等についてお知りになりたい方は直接事務所宛にお問い合わせください。連絡の方法は、電話でも可能ですが、当事務所の無料法律相談フォームからメールを下さるのがより確実です。

採用に関する基本情報は下記の通りです。

1 1年から2年間の養成の後、ひまわり公設事務所弁護士あるいは法テラスのスタッフ弁護士として、司法アクセス困難な箇所に3年の任期で赴任 して頂きます。任期後の進路は自由です。もちろん事務所に復帰するのは大歓迎です。諸先輩は、事務所に戻って後進の指導に当たっている者、事務所復帰後数年を経て独立した者、任地で独立した者、法テラスで再任を繰り返している者など様々です。

2 給料制ではなく、各自に事件を割り振り(先輩との共同受任が原則)、売上の中から経費を納めて頂きます。但し入所後1年間は、毎月の売上から納める経費を差し引いた額が45万円に満たないときは差額を補填します。自営の扱いですので社会保険はありません。健康保険、交通費及び弁護士会費も自己負担となります。

3 事件に支障がなければ出退勤時間、休暇等も自由です。自身で管理して頂くことになりますが、これまで不都合はありませんでした。

4 事件は刑事事件に限らず種々の事件を扱います。

5 新人の育成は基本的にはOJTによりますが、神山啓史弁護士による神山ゼミ、民事ゼミ、判例ゼミをそれぞれ月に1度行います。

6 必ず地方に赴任して頂くこと、任地は自由に選べないことなどから(希望はお聞きしますが、所長が決定します。修習地の決定みたいな感じだと思ってください)、応募できる方には一定の条件があるかもしれません。

7 74期からは1名の採用を予定しています。

 

2021年2月16日 (火)

企業のクレーム対応(1)

 昔、欠陥自動車の裁判を何件も手掛けた。運輸省(当時)のメーカーに対するチェックが今ほど厳しくなかったこともあり、自動車の欠陥が原因で起きた事故でも、ユーザーの過失とされることが少なくなかった。

 しかし欠陥がある場合、大事故に至らぬまでも小さな事故や不具合はしばしば生じるものである。車の不具合を感じたユーザーは当然ディーラーに不調を告げる。そしてディーラーはその情報をメーカーに上げる。

 ここで大切なのは、そうした顧客からの苦情やクレームにどう対処するか、である。

実際、苦情やクレームは玉石混交だ。極端な話、難癖や、時には強請かと思われるようなクレームもある。正当なクレームであっても極めて不快な伝え方をしてくる顧客もいる。そうしたクレームばかりを目にしていると、何とか黙らせたいという方向にばかり目が向いてしまうこともあるだろう。しかしそれでは大事なところを誤ってしまうことになる。

 

かつて、あるメーカーの高級乗用車が走行中に走行不能になってしまうという欠陥の相談を受けたことがあった。ディーラーに見せても異常はないとされ、オーナーはクレーマー扱いされた。オーナーはやむなくディーラーを相手に訴訟を提起した。当該車両に対する構造や設計などの情報量は圧倒的にディーラーが勝る。ディーラーは当該メーカーの工場の品質管理がいかに優れているかを滔々と述べ立て、欠陥はないと断言した。原告の立証は困難を極めた。

そこで、代理人だった私は賭けに出た。欠陥現象は一定の条件下で生じていた。ならばその条件を整えて欠陥現象を再現し、それを検証の手続によって裁判官に見てもらおうと考えたのだ。

検証は、ある夏の暑い日に実施された。運転は私が行い、助手席に原告、後部座席には裁判官と被告代理人に同乗してもらった。そして裁判所の周辺道路を1周することにした。

結果は、半周したあたりで欠陥現象が生じた。エアコンの吹き出し口から水が噴き出し、エンジンが停止したのだ。惰性で動く車を道路端に寄せ、検証を終えた。

この事件の判決は、水戸地方裁判所日立支部で平成9年1月27日に言い渡された。判例データベースには、「自動車の瑕疵が認められ、売買契約の解除が肯定された事例」として紹介されている。

 

クレームに対して真摯に向き合うことの重要性を痛感させる判決だったと思う。因みにこのメーカーは、当時、消費者の声に耳を傾ける姿勢が他のメーカーに比べて著しく欠けていた。その後経営不振に陥り、外国の自動車メーカーの社長をトップに迎えざるを得なくなったのは、そうした姿勢で客にそっぽを向かれたからだと思っている。(櫻井)

2020年12月23日 (水)

SNS上の誹謗中傷の投稿者を特定するための「新たな裁判手続」について

 2020年12月21日付のNHKニュースにて、「SNS上のひぼうや中傷被害防止へ 新たな裁判手続きの創設決定」という報道がなされました。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201221/k10012775821000.html

  報道によれば、「フジテレビの番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラーの木村花さんが、SNS上でひぼう中傷を受ける中で自殺した問題をきっかけに、総務省の有識者会議が投稿した人の情報開示に関する検討を進め、21日の会合で新たな裁判手続きの創設を決めました」とのことで、この「新たな裁判手続」によってSNS上の誹謗中傷の投稿者に関する情報開示が「迅速に進められる」ということになっています。この「新たな裁判手続」を創設するようになった背景、及び現時点で分かっている内容について本ブログで紹介致します。

  総務省の有識者会議(発信者情報開示の在り方に関する研究会)は、今年の4月から12月まで11回行なわれており、議事の内容等についてもホームページ上で公開されています。「新たな裁判手続」の内容についても、リンク先の最終とりまとめ(案)の中で紹介されています。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/information_disclosure/index.html

 「新たな裁判手続」を創設するようになった背景としては、誹謗中傷の投稿者に関する情報開示の裁判手続の負担が大きすぎるという点があります。

 SNS上の誹謗中傷の投稿により権利侵害がなされていることが明白な場合でも、情報を有しているSNSの運営者や接続プロバイダは原則として裁判外では開示しません(特に海外の法人については、裁判所の決定がなければ開示することはないといって良いです)。そのため法的手続が必須となるのですが、その場合、(1)SNSの運営者に対して仮処分を申立てた上、仮処分の結果接続プロバイダからのアクセスに関する情報の開示を受ける(2)接続プロバイダに対して訴訟を行い、勝訴してプロバイダの契約者に関する情報の開示を得るという二回の裁判手続を経る必要があります。

 このように二回の裁判手続を要し時間も費用もかかることから、被害者にとっては非常に大きな負担となっています。また、時間を要している間に、接続プロバイダのログ保存期間を徒過し、時間切れで特定に至らないということも珍しくはありません。

 総務省の有識者会議で創設を決めた「新たな裁判手続」については、最終とりまとめ(案)によれば、次のような内容になるようです。

  • SNSの運営者に情報を開示させた上、接続プロバイダの発信者情報の保全を行い、接続プロバイダに情報を開示させるという一連の手続を一回で行なうようにする。
  • 現行法上の開示請求権を存置し、現行の手続(上記二回の裁判手続を経て特定させる)も維持する(被害者は手続を選択することができる)。
  • 開示する要件としては、現行法と同様(権利侵害の明白性が認められる場合)とする。

  「新たな裁判手続」について現在明らかになっている内容からしても、誹謗中傷の投稿者に関する情報開示の裁判手続の負担はかなり軽減されることになるでしょう。手続の詳細については今後更に検討されることになりますが、被害者のSNS上で誹謗中傷を受けて泣き寝入りする人が少しでも減るよう、実効的な手続を導入していただきたいものです。

弁護士 大窪和久

2020年11月19日 (木)

面会妨害

去る11月13日、東京地検特捜部が被疑者を任意に取調べ中、面会に訪れた弁護士の来訪を被疑者に取り次がず、面会を妨害した事件の国家賠償請求訴訟の判決がありました。その弁護士は外ならぬ私で、裁判所は国に慰謝料10万円の支払を命じました。

私が国賠にまで踏み切ったのは、誰よりも刑事訴訟法を熟知しているはずの特捜検事が、「弁護士には任意取調べ中の被疑者に面会する権利はなく、検察官はその来訪を取り次ぐ義務もない。」と言い放ったからです。

刑事訴訟法39条1項は、「身体拘束を受けている」被疑者被告人の接見交通権を定めています。検察官の理屈は、「身体拘束を受けていないから」接見交通権の保障はないのだというものでした。

取調べに応じていたAさんは、私の留守中、事務所に電話をかけてきて、桜丘法律事務所の誰でもいいので助言を受けたいと言っていました。ですから私の来訪を知れば必ず会いたいと希望したはずです。そうした事情を説明しても妨害は続きました。

被疑者と弁護人の接見交通権が重要な権利であることはいくつもの判例で確認されています。それを真っ向から否定するような言動をされては弁護人として引っ込むわけには行きません。検察官との議論は平行線で、時間稼ぎをされるだけだと思ったので、司法の場で明らかにしましょうと言って会話を終えました。

コロナが災いして期日の間隔があいてしまったことは残念でしたが、迅速な裁判を求め、2回の期日で弁論を終結し、判決を得ました。

公権力が理不尽な権利侵害を、それも目の前で行うとき、見過ごさないのが弁護士の矜持だと思います。

 

 

 

 

 

2020年7月30日 (木)

新型コロナウイルス感染症に便乗した悪質商法について その3

 昨今、新型コロナウイルスのクラスターになることを恐れて、高齢者宅への訪問が減少しています。もともと、単身独居世帯が増えており、家族も帰省を控えるなどで行き来が減っているところに、ヘルパーも訪問回数を減らすなどしているところがあります。

 さて、これで喜ぶのは、高齢者宅を訪問して悪質商法を持ち掛けようとする詐欺師です。

 最近流行の悪質商法に、高齢者に対する不動産の押し買いというものがあります。不動産の押し買い自体は珍しいものではありません。以前から、高齢者宅を訪れて、自宅マンション等の売却を勧めるというものはありました。もとはひとつの詐欺師集団が、何度も業者名を変えて自宅を訪問し、相場より安価な値段を提示してこれが相場と思わせ、最終的に相場より恐ろしく安い値段で自宅を買い取ってしまうのです。高齢者に対しては、そろそろ終の棲家(施設)を探したほうがいいと言い、施設を購入するには先立つものがいるだろう、施設に入れば自宅はもういらなくなるからこれを売って元手にしよう等と親切ごかしに持ち掛けるのです。あるいは、転居先が見つかるまではリースで住めるから、と言って売らせることもあるようです。

 コロナによってヘルパーらの目が行き届かなくなったのをいいことに、最近このような押し買い商法が複数散見されています。不動産を購入する側であればクーリングオフ制度もあるのですが、売却する側はクーリングオフの対象になっておらず、手付倍返しや違約金による解決しか受け付けない業者もあります。

 判断能力の衰えた高齢者から自宅を奪うような悪質商法が許されていいはずはありません。安易に手付倍返しや違約金による解決を図る前に、弁護士にぜひ相談をするようにしてください。

石丸 文佳

2020年7月27日 (月)

新型コロナウイルス感染症に便乗した悪質商法について その2

  前回、本ブログでは、持続化給付金詐欺の話題を掲載しました。サラリーマンなど本来は受給資格のない人に給付金の受給を持ち掛け、手数料を取るというものです。今回は、このような詐欺について、もう少し詳しい話をしたいと思います。

 持続化給付金は、個人の自営業者で一定の収入減少があれば、最大100万円を受け取れます。詐欺師は、説明会場を設けてカモを呼び、架空の確定申告書と税理士を用意して、あたかもカモが自営業者であるかのように見せかけます。そして、カモの口座に100万円を振り込ませる手続を代行するのです。カモは、途中で止めたいと思っても、書類の全てを詐欺師が握っているので、申請を取り下げることもできません。そして、振り込まれた100万円のうち、実に8割以上を手数料と称して支払わせます。支払方法は、直接現金を持参させる方法をとります。昨今の特殊詐欺同様、口座への送金ではその口座が凍結されるかもしれないからです。

 書類に残るのは全てカモの名前と口座情報であり、詐欺師は全く表にあらわれません。カモの手元に残っているお金は20万円もないのですが、詐欺を行ったということで捕まるのはカモだけで、返済義務も100万円全額を負うことになります。

 更に、学生などの間では、これは一種のマルチとして流行っているそうです。友人を紹介すればキャッシュバックがもらえるので、生活が苦しい若者は、自らが詐欺の片棒を担ぐだけでなく、友人も詐欺に引きこむことになるのです。

 このような詐欺には加担しない、勧誘しないのが一番ですが、もしも詐欺師に依頼してしまった場合、まずは決して手数料を支払わないでください。手元に1020万円程度しか残っていなくても、100万円の返還義務はあなたにかかってくるからです。公序良俗に反する手数料の契約は無効ですから、詐欺師に手数料を支払う義務はあなたにはありません。また、現在、受け取ってしまった100万円を返還する窓口はないのですが、返せないからと言って使ってはいけません。経済産業省が受け取りを拒否した場合は、供託という方法もあります。100万円が振り込まれてしまった時点で詐欺は既遂になってしまいますが、経済犯は利益を全額返したかどうかで大きく量刑に差が出ます。既に先日、19歳の少年が持続化給付金詐欺で逮捕されていますから、捕まらないだろうと高をくくってはいけません。

石丸 文佳

2020年7月25日 (土)

新型コロナウイルス感染症に便乗した悪質商法について

 新型コロナウイルス感染症に伴い、収入が減少してしまったという方は多いですが、そのような弱みにつけ込んだ悪質商法が後を絶ちません。

 国民生活センターによれば、受給資格のない人に持続化給付金の不正受給を持ちかける勧誘が多数報告されているとのことです。持続化給付金の受給申請の為には自らが事業を行なっていることが必要ですが、「サラリーマンでも無職でも100万円の持続化給付金が受け取れる」「事業をしていることにして、申請を代わりに行なう会社にお願いすれば持続化給付金がもらえる」などといって、本来であれば受給資格の無い人に勧誘をかけます。その上で、勧誘に乗ってしまった人から受給した持続化給付金の何割かを手数料として受け取るというものです。

 このように、受給資格が無いにも関わらずあたかも事業者を装い受給資格があると偽って持続化給付金の給付申請を行なうことは詐欺罪に該当しますし、誘いを持ちかけた方が逃れてしまい、申請者のみが犯罪の責任を問われるということは十分あり得ます。まったく割に合わない行為ですので絶対に誘いに乗らないようにしてください。

 また、東京都消費生活総合センターによれば、「新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減ったため、副業や内職を探していたらトラブルにあった」という相談が増加しているとのことです。パターンとしては、動画サイトの広告やランキングサイト等をみて事業者のサイトでSNS登録をするよう促され、やりとりをする中で高額な情報商材を売りつけられるといったもののようです。以前から情報商材として、最初は安い1万円から数千円程度のものを売り、興味を持った人に数十万円以上の価格のもの(内容は宣伝とはかけ離れた物であることが多いです)をカードを使わせるなどして売りつけるというトラブルはありますが、新型コロナウイルスで収入が減少したところを狙われているようです。情報商材で「簡単に稼げる・儲かる」と言われて実際に儲かるものは皆無といっても過言ではありません。通常であればそのような話には引っかからないところ、現在のような状況ではつい引っかかってしまうということもあるでしょう。

 紹介してきた悪質商法については最初から関わらないのが一番ですが、取引に応じてしまった様な場合については、少しでも被害を少なくするために早めに消費者センターや法律事務所に相談して、問題を解決するようにすることを強くお勧めいたします。

弁護士 大窪 和久

2020年7月20日 (月)

自筆証書遺言書保管制度が始まりました

7月10日から、法務局で手書きの遺言書(自筆証書遺言書)を保管する新たなサービスが始まりました。預ける際に法務局へ支払う手数料は1件あたり3900円です。費用面からしても利用しやすいものとなっています。

これまでは、自筆証書遺言書は自宅内で保管することが一般的でした。そのため、せっかく遺言書を作っても、相続人が発見できなかったり、発見されたとしても遺言書の改ざんの有無を巡って相続人間で争いになることもありました。そこで、相続手続きをスムーズに進めていくことができるように、法務局で自筆証書遺言書を保管するサービスが始まりました。

自筆証書遺言書の保管は、遺言を作成した本人だけが申請することができます。申請先は、住所や本籍地、所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局です。そして、相続人は、被相続人(遺言書を残した人)が死亡した後には、法務局に遺言の有無を照会することができます。このように、自筆証書遺言書を作った後はそれを法務局に預けておけば、亡くなった後も相続人に発見してもらいやすくなります。また、遺言書の改ざんを巡って相続人間で争いになることもありません。

ただ、このサービスは、法務局が、預かった遺言書の内容に問題がないことを保証するものではありません。また、法務局は遺言書の内容に関する事柄については一切相談に応じられません。たとえば、遺留分といって、一定範囲の相続人には、遺産から最低限受け取れる権利というものがあります。特定の相続人の遺留分を侵害するような内容の遺言であっても、遺言の形式面に問題がなければ、申請があれば法務局は遺言書をそのまま預かることになります。そのため、遺言書の内容面に問題がある場合は、このサービスを利用したとしても、結局、相続人間の争いを招いてしまいます。

そのため、法務局のサービスを利用する場合でも、遺言書の内容に問題がないかどうか、弁護士に相談されることをお勧めします。

(弁護士 小堀 惇)

2020年7月 3日 (金)

新型コロナウイルス感染症に便乗した詐欺について

 新型コロナウイルスに便乗した詐欺事件が増加しています。朝日新聞の報道によれば、新型コロナウイルスに便乗した詐欺事件(未遂を含む)の被害は今年の3月上旬から517日までの間に、16都道府県で39件確認されており、被害額は約3550万円にのぼっているとのことです。

 典型的な手口としては、特定定額給付金の手続の代行を行なうのでATMに手数料の振り込みを求めるであるとか、申請手続のために口座番号・暗証番号等個人情報を聞き出すなどです。そもそも特定定額給付金の申請は市町村から各世帯へ郵便で送付される申請書に記入し申請するか、「マイナポータル」によるオンライン申請のいずれかしかありません。また、役所の担当者が申請手続のために手数料の振り込みを求めるであるとか、個人情報を聞き出すということは絶対にありません。

 上記のような電話やメールなどが来た場合、まず間違いなく詐欺ですので警察や消費生活センター等に相談することをお勧めいたします。また、仮に実際に手数料の振り込みを行なってしまったりした場合でも、早期の段階であれば振り込め詐欺救済法による銀行口座凍結等により、被害回復ができる場合もありますので、なるべく早めに相談にいくことをお勧めいたします。

 また、給付金等の支給を受けられると騙った偽サイトにも注意が必要です。既に行政機関を騙った偽サイトが多数存在しているようです。また、サイトだけではなく偽の申請アプリ等が出現する可能性も否定できません。これらのサイト等はクレジットカード情報等を取得した上でそれを盗用するためにつくられているものです。給付金の支給のためにクレジットカード情報を入力する必要はありませんので、絶対に入力しないで下さい。仮に入力してしまった場合でも、早期であればカード会社によるチャージバックの手続などにより被害を防げる場合もありますので、なるべく早めに警察や消費生活センター等に相談することをお勧めいたします。

 上記の手口以外にも、新型コロナウイルスに便乗した詐欺の発生することが懸念されています。不審な電話やメールがきたり、不審な人物が自宅に訪問してくるような場合には、その場で何かを決めるのではなく、家族、知人、あるいは消費生活センター等に相談しましょう。

弁護士 大窪和久

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