2017年9月12日 (火)

9月,10月の神山ゼミ

神山ゼミを以下の要領で行います。


【9月】
日時:9月29日(金)午後6時から午後8時頃まで
場所:伊藤塾東京校521B教室
http://www.itojuku.co.jp/keitai/tokyo/access/index.html

【10月】
日時:10月16日(月)午後6時から午後8時頃まで
場所:伊藤塾東京校501B教室
※普段と教室が異なりますのでご注意ください。
http://www.itojuku.co.jp/keitai/tokyo/access/index.html

【備考】
法曹,修習生,学生に開かれた刑事弁護実務に関するゼミです。 刑事弁護を専門にする神山啓史弁護士を中心に,現在進行形の事件の報告と議論を通して刑事弁護技術やスピリッツを磨いていきます。
特に,実務家の方からの,現在受任している事件の持込相談を歓迎いたします。
方針の相談や,冒頭陳述・弁論案の批評等,弁護活動にお役立ていただければと思います。
なお,進行予定を立てる都合上,受任事件の持込相談がある場合には,参加連絡の際にその旨伝えていただけると助かります。
参加を希望される方は予めメールにて,下記の事項を馬場大祐(baba@sakuragaoka.gr.jp)までご連絡下さるようお願いします。
※スパム対策として,@を全角にしています。半角の@に変換して送信してください。

なお,9月・10月の神山ゼミには,ゼミ後に懇親会がございます(参加自由)。

[件名] 9月の神山ゼミ(10月の神山ゼミ)
[内容]
・氏名:
・メールアドレス:
・持込相談の事件がある場合にはその旨

・懇親会参加の有無

皆様のご参加をお待ちしています。

71期修習予定者向け事務所説明会のお知らせ

合格者の皆さん,おめでとうございます。

桜丘法律事務所では,下記要領にて71期修習予定者に対する事務所説明会を行います。当事務所の71期の採用予定は1名ですが,下記のように司法研修所刑事弁護上席教官の神山弁護士による刑事弁護の話や所長の櫻井弁護士による弁護士のあり方についての話などもありますので,応募の予定のない方も,興味のある方はご自由にご参加下さい。

参加希望者は,件名を「事務所説明会参加希望」として,
①名前
②メールアドレス
③参加希望日
④懇親会参加希望の有無
を明記の上,馬場(baba@sakuragaoka.gr.jp)宛にメールにて申込をして下さい。
※スパム防止のため@を大文字にしています。小文字に変換して送信して下さい。

当事務所は,日弁連のひまわり基金公設事務所又は法テラスのスタッフ弁護士として地方で勤務する新人弁護士の養成を続けています。弁護士過疎解消をはじめ,公益的な弁護士業務に幅広く関心のある方のご参加をお待ちしています。とりわけ当事務所に入所を希望されている方にはぜひおいで頂いて事務所の雰囲気を知って頂きたいと考えています。

当日は東電OL殺人事件主任弁護人であり,刑事専門弁護士である神山啓史弁護士による刑事弁護講演も予定されています。刑事事件に興味のある方も是非ご参加下さい。なお,準備の都合上,各回先着30名とさせて頂きますのでご了承下さい。

第1回 平成29年11月2日(木)18:00~20:00頃まで
    【場所】伊藤塾本館地下1階の501B号教室(東京都渋谷区桜丘町17-5)
第2回 平成29年11月8日(水)18:00~20:00頃まで
    【場所】渋谷協栄ビル3階の132教室(東京都渋谷区桜丘町17-6)

説明会内容
第1部 約60分
桜丘法律事務所の紹介   櫻井光政所長
第2部 約60分
刑事弁護講演         神山啓史弁護士

終了後,事務所見学と懇親会を予定しています(参加自由)。


〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町17-6    
渋谷協栄ビル7階 桜丘法律事務所
電話 03-3780-0991
http://www.sakuragaoka.gr.jp

2017年8月14日 (月)

絵画商法による消費者被害

 絵画商法とデート商法を併せたような被害に遭った方の救済に役立つ判決が得られました(東京地方裁判所 平成28年(レ)第742号 上告棄却により確定)。

 秋葉原で駅付近を歩いていたところ、チラシを持った女性から「良かったら絵を見に行きませんか。」などと声を掛けられた男性がいました。その方は、「時間がありません。」と断りましたが、女性は「あまり時間は取らせないから少しでも見ていきませんか。」などと勧誘を続けました。結局、男性は画廊の絵画展示場に案内され、数十万円もする高額な絵をローンで購入する契約を結びました。

 その後、男性は画廊から電話を受けるようになりました。「見てもらいたいものがあります。来られませんか。」「イベントに来て欲しいです。来られませんか。」などと画廊に呼び出されては、同じように数十万円する高額な絵をローンで購入していました。

 結局、ローンの支払ができなくなって、ご相談に来られました。

 本件のポイントは、訪問販売としてクーリングオフが認められるか否かです。

 裁判では、

① 男性が声をかけられた場所が本件店舗の入り口から5m程度しか離れていなかったとしても、訪問販売といえるための要件である「営業所等以外の場所において呼び止め」「営業所等に同行させた」といえるかどうか、

② 「みてもらいたいものがあります。来られませんか。」などの電話が、訪問販売といえるための要件である「電話…により当該売買契約…の締結について勧誘するためのものであることを告げずに営業所…への来訪を要請」したことにあたるのかどうか、

③ クーリングオフの期間を進行させるためには、法定の事項が記載された書面を交付しなければならないところ、「ジクレ(筆者註・コンピューターによる絵画の複製)」という記載で法律が記載を要求している「商品の…種類」を記載したといえるか、

といったことが争点になりました。

 裁判所は、①については「呼び止めた従業員等が顧客と一緒に移動した距離がたとえ数m程度にすぎない場合であっても、その営業所等まで向かわせる経緯が、顧客がその自由な意思によって当該営業所等に赴くか否かを決定することが阻害されるような客観的状況であった場合は、『同行させた』ものとみるのが相当である」として店舗付近の声掛けでも訪問販売としてのキャッチセールスにあたることを認めました。

 行政解釈では「通常の店舗販売業者が、店舗の前で行う『呼び込み』は、『同行させ』る行為が欠けて」おり、訪問販売には該当しないとされています。本判決は店舗から数mしか離れていない場所での呼び込みでも、一定の場合には訪問販売にあたり得ることを認めたものです。

 また、②についても、絵を販売することに触れられたり、明言されたりすることなく勧誘されたものであるから、これだけでは勧誘するためのものであることを告げたことにはならないと判示しました。ここでは、「新しい作品が入りました。ご紹介したい作品があるので、ぜひいらしてください。」と伝えていたとしても、結論は左右されないと述べています。来訪を要請するのは買わせるためだということはある程度予測できますが、それではだめだということです。

 ③についても裁判所は、「『ジクレ』との表記のみでは一般顧客において本件各絵画が元となる絵画の複製品であるということすら容易に理解できないといえるから、『商品の~種類』(法41項)の記載があるとも認められない。」と判示しました。

 ジクレとは絵画の複製技法を指す言葉で、元になる絵をコンピューターに取り込みそれをプリンタで印刷して複製する技法です。男性が購入したのは絵の複製物であるジクレでしたが、ジクレが何を意味するのかは男性自身も分かっていませんでした。

 「種類」の表記は行政解釈でも一般に普及していない表現(専門用語や学術名)では足りないとされていましたが、「ジクレ」という表記では種類を表示したことにはならないとの判断が出されました。

 ネット等をみると、秋葉原では本件と良く似たことが、かなり昔から行われているようです。

 不意打ち的に必要もない絵を買うことになってしまい、買ったことを後悔している方がおられましたら、ぜひ一度ご相談ください。時間が経っていたとしても、クーリングオフで契約をなかったことにできる可能性があります。

(弁護士 師子角 允彬)

2017年7月16日 (日)

7月,8月の神山ゼミ

神山ゼミを以下の要領で行います。
日時 7月24日(月)午後6時30分から午後8時頃まで
※開始時刻がいつもと異なりますのでご注意ください。
場所 伊藤塾東京校521B教室
http://www.itojuku.co.jp/keitai/tokyo/access/index.html
備考
法曹,修習生,学生に開かれた刑事弁護実務に関するゼミです。 刑事弁護を専門にする神山啓史弁護士を中心に,現在進行形の事件の報告と議論を通して刑事弁護技術やスピリッツを磨いていきます。
特に,実務家の方からの,現在受任している事件の持込相談を歓迎いたします。
方針の相談や,冒頭陳述・弁論案の批評等,弁護活動にお役立ていただければと思います。
なお,進行予定を立てる都合上,受任事件の持込相談がある場合には,参加連絡の際にその旨伝えていただけると助かります。
参加を希望される方は予めメールにて,下記の事項を馬場大祐(baba@sakuragaoka.gr.jp)までご連絡下さるようお願いします。
※スパム対策として,@を全角にしています。半角の@に変換して送信してください。
なお,8月の神山ゼミは8月28日(月)午後6時30分~午後8時頃まで(教室は132教室)です。※開始時間と教室の変更にご注意ください。
[件名] 7月の神山ゼミ(8月の神山ゼミ)
[内容]
・氏名:
・メールアドレス:
・持込相談の事件がある場合にはその旨
皆様のご参加をお待ちしています。

2017年6月16日 (金)

高齢者向け個人顧問契約(ホームロイヤー)のご案内

「一人暮らしで何かあったときに心配」、「将来、認知症になったときでも自分の望む生活を送れるかな」、このような不安を持ったことはありませんか。

 

判断能力が不十分になった場合の財産管理の制度として有名なものでは、成年後見制度があります。

ただ、成年後見制度の場合は、家庭裁判所が成年後見人となる人を決めることになります。

そのため、ご本人が望む人が、成年後見人になるわけではありません。

また、成年後見人が選ばれる時期も、ご本人の判断能力が不十分になった後です。

そのため、ご本人が元気なうちから、将来の財産管理の方針について、成年後見人となる人と話し合いをしておくこともできません。

ですから、たとえば、成年後見人による財産管理が第三者的な視点からは適切なものであったとしても、実は、ご本人が希望していた生活とは違うものだった、ということもあり得ます。

 

そこで、老後も自分の希望に沿った生活を送るために、ご本人に判断能力が十分にあるときから弁護士に相談をして、老後の財産管理について少しずつ準備をしていこう、という考えが広がりつつあります。

具体的には、弁護士と個人顧問契約(ホームロイヤー契約)を締結して、預貯金や不動産といった大事な財産の管理方針や、遺言の内容など、種々の心配事について、時間をかけて継続的に協議を行います。

また、ご本人で財産管理をすることが負担となった場合や、判断能力が不十分になった場合に備えて、例えば、アパートなどの特定の財産の管理を弁護士に委ねたり、任意後見契約を締結しておくこともできます。

任意後見という言葉は、成年後見という言葉と似ていますが、大きく異なる点が2つあります。

1つめは、将来、後見人になってもらいたい人を、あらかじめご本人が選べることです。

2つめは、財産の管理方法について、契約という形で、任意後見人と約束をしておくことができることです。

そうすれば、ご本人の判断能力が不十分になった後も、任意後見人により、ご本人の希望に沿った生活を送ることができます。

 

このように、個人で弁護士と顧問契約を結ぶことを、ホームロイヤー契約と呼んでいます。その典型例が老後の準備を目的として様々なことを相談し、また依頼をするというものです。

個人顧問契約、と聞くと驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、どなたにもかかりつけのお医者さんがいるように、老後の準備のためにかかりつけの弁護士(ホームロイヤー)をつくっておくものです。

当事務所でのホームロイヤーの費用は、月額5000円から1万円を標準としておりますので、通常の顧問契約よりもご利用いただきやすい料金となっております。

 

老後の準備の手始めとして、まずは法律相談からはじめてみませんか。(小堀 惇)

2017年6月 2日 (金)

6月の神山ゼミ

神山ゼミを以下の要領で行います。

日時 6月16日(金)午後6時から午後8時頃まで

場所 伊藤塾東京校521B教室
http://www.itojuku.co.jp/keitai/tokyo/access/index.html

備考
法曹,修習生,学生に開かれた刑事弁護実務に関するゼミです。 刑事弁護を専門にする神山啓史弁護士を中心に,現在進行形の事件の報告と議論を通して刑事弁護技術やスピリッツを磨いていきます。
特に,実務家の方からの,現在受任している事件の持込相談を歓迎いたします。
方針の相談や,冒頭陳述・弁論案の批評等,弁護活動にお役立ていただければと思います。

なお,進行予定を立てる都合上,受任事件の持込相談がある場合には,参加連絡の際にその旨伝えていただけると助かります。

参加を希望される方は予めメールにて,下記の事項を馬場大祐(baba@sakuragaoka.gr.jp)までご連絡下さるようお願いします。
※スパム対策として,@を全角にしています。半角の@に変換して送信してください。

[件名] 6月の神山ゼミ

[内容]
・氏名:
・メールアドレス:
・持込相談の事件がある場合にはその旨

皆様のご参加をお待ちしています。

2017年5月21日 (日)

象徴天皇制について考えました

象徴天皇制について考えたこと

 

 

 

先日,天皇の退位について,有識者会議の議論が一代限りの退位とする方向で進んでいたことに,天皇が不満を漏らされていた旨の報道があった。宮中祭祀だけを続ければ退位する必要はないとの主張がなされたことについてもショックを受けていたとのことだ。

 

 

 

天皇が,政府が進める方向性について異なる意思を表明することが極めて異例であることから,そのこと自体の当否や,内容の適否について様々な意見が見られるようだが,論者の立ち位置が異なるために噛み合わぬことも多いように見受けられる。そこで,現憲法下における象徴天皇制を是とする立場で私の意見を述べてみたい。

 

なお,私はかつては,象徴と言えども天皇制は民主制と相容れないのではないかと考えていたが,最近は民主制のグラデーションの中で,十分にあり得る制度だと考えている。その思いは,近年天皇が国民に熟慮を促す機能を果たしている様子を見て一層強くなっている。

 

 

 

それでは,象徴としての天皇とはいかなる存在であろうか。

 

憲法第1条は,「天皇は,日本国の象徴であり,国民統合の象徴であって,この地位は,主権の存する日本国民の総意に基づく。」とされる。象徴天皇は,日本国憲法で改めてその地位が定められた存在である。これに対して帝国憲法の第1条は「大日本帝国は万世一系の天皇これを統治す(原文カタカナ)」と定め,憲法以前に天皇の支配があり,憲法はそれを確認したに過ぎない。こうした対比からは,象徴天皇は,日本国憲法が定める理念,理想に沿って行動することをもって日本国および国民統合の象徴であるべき責務を負うものであることが理解できる。

 

そうしたときに,天皇のあるべき言動を考えれば,可能な限り個の尊厳が尊重されるべきであるし,その生活も自由で民主的なものであることが望ましい。そう考えると,ご自身が退位したい,できれば後に続く者のためにも退位を制度化してほしいという希望は至極健全なものであると思う。勿論,世襲という制約は憲法上厳然と存在するし,権能の限界や国事行為についても憲法で定められているものであるから,これをないがしろにはできない。その点では一般の国民とは異なる特殊な地位である。だからこそ,世襲も権能・国事行為にも影響を与えず,且つ個としての天皇の意思を尊重する手段として退位を言い出されたのであろう。天皇は特殊な存在ではあるけれど,個としての尊厳や幸福追求の権利までも奪われるべきではない。むしろ個としての尊厳に満ち,家庭においても幸福に過ごすことこそが,基本的人権の尊重を憲法に謳う日本国の象徴にふさわしいと思う。天皇の地位が特別なものであることを理由に非人間的な苦痛を押し付けることを意に介さないのは誤りだというべきだ。

 

 

 

有識者会議の議論を不満に思うことは構わぬが,それを表明することが,「国政に関する権能を有しない」とされる天皇としては不適切だとの批判もあるようだが,私は,これは当たらないと考えている。皇室典範は,専ら皇室の内部の諸事を定める法律であり,その内容は国民の支配,統治に関するものではない。勿論法律であるから広義には国政に関する事柄と言えなくはないかもしれないが,その内容が国民の権利義務にかかわらぬものであり,他方天皇にとってはその私生活を左右するものであれば,これに対して意見,感想を表明することまでを,国政に関する権能を理由に不適切だと批判するのは不適当だと思う。

 

 

 

以上から私は,天皇が上述のような感想を,宮内庁を通して首相官邸に伝えたことに問題はないと考えるし,退位の問題については,制度の直接の当事者である天皇の意向はより尊重されるべきであったと考えるものである。(櫻井光政)

 

2017年5月19日 (金)

桜丘釣り同好会

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桜丘法律事務所釣り同好会の活動報告です。

先日の企画は、GWの2日間かけて行われた、勝どきマリーナ主催のフィッシング講習でした。

1日目は釣りのプロによる講習でじっくり座学を行い、2日目は実際にボートで海に出て学んだ知識を実践に活かします。

参加メンバーは、櫻井、大窪、神山(昌)、馬場(新人)の4名。

4名のうち釣り経験者は櫻井のみで、他3名はほぼ初心者。

普段は頼もしい権利の守り手たちも、釣竿を目の前にてんやわんやの様子。

1日目は釣りのプロから優しい手ほどきを受け、全員何とか釣り具の役割や魚たちの生態について理解することができました。

2日目は本番。メンバー達は目当てのシーバスを釣り上げに東京湾へと繰り出します。

波にもまれ、川崎港付近まで来たところで、ポイントを探し、実践編がスタートしました。

ルアーが消波ブロックに引っかかったり、釣り糸が切れたりと、トラブルに見舞われながらも、メンバーたちは竿を振ります。

開始から1時間ほど経ったころ、新人の馬場が50センチほどもあろうかというシーバス(スズキ)を釣り上げました。

桜丘では、普段の仕事はもちろん、同好会においても教育を欠かしません。

釣り2回目の新人が成果を出すことができたのも、日ごろの教育の賜物といえるでしょう。

GWもとうに終わり、忙しい日々に戻りました。

次は仕事で大きな成果を上げるべく、日々汗を流します。

(馬場)

2017年5月11日 (木)

【裁判例の紹介】相続に関する弁護士の助言につき弁護士に説明義務違反があったとする事例

 当事務所では定期的に所内弁護士による勉強会を行っており、先日その勉強会の中で弁護士が説明義務違反とされた事件の裁判例をピックアップしました。この裁判例(平成28年8月24日東京地裁判決 判例タイムズ1433号211頁)のでは、弁護士の助言により被相続人名義の不動産の贈与原因の登記をした相続人が単純承認したとみなされたことについて弁護士に説明義務違反を認められており、原告が請求した損害賠償請求については全額認められています。
 この裁判例についてツイッターで呟いたところ反響がそれなりにありましたので、事務所のブログの方でも取り上げることに致しました。
 裁判例における事実関係は次の通りです。
(1)父親Aと母親Bの間には子供として長女Cと次女X(訴訟の原告)がいた。また長女CにはDという子どもがいた。
(2)Aは数千万円の借金があり債務超過の状態にあったが、自宅の土地建物についてDに対して贈与する内容の契約書を作っていた(ただし生前に登記手続までは行われていなかった)。
(3)弁護士YはCの代理人として相続放棄手続をとった。
(4)弁護士YはAとDを代理してAからDの贈与による所有権移転登記手続を行った。
(5)弁護士YはXとBの代理人として相続放棄の手続を行った。
(6)Aの債権者がXとBに対して支払を求める訴訟を行った。Aの債権者はXとBの行った相続放棄について、放棄を行う前に行った所有権移転登記手続が相続財産の処分にあたり相続を承認したことになるから、相続放棄は無効であるとの主張を行った。裁判所はこの主張を認め、XとBは敗訴し支払義務を負うことになった。
 
 Xは弁護士Yに対し、相続放棄より先に所有権移転登記を行うと相続放棄が無効になるおそれがあると説明する義務があるにもかかわらずこれを怠ったとして、説明義務違反による損害賠償請求訴訟を起こしました。
 弁護士YはXの主張に対し、相続放棄の前に所有権移転登記をした場合相続放棄が無効とされてしまう可能性は半々程度であるが、相続放棄を先行させるよりは不動産を守る可能性が高いこと、仮に相続放棄が無効でも破産をするなどの方法があること等説明は行っているので、説明義務違反はないという反論を行いました。
 
 裁判所は弁護士Yの主張に関し、上記の程度の説明は行ったことについては認定しました。しかしながら、所有権移転登記手続を行うことにより相続放棄が無効と判断される可能性は相当高く、相続放棄が無効とされる可能性が半々程度と考えたこと自体見通しを誤ったものなので、その見通しの上で行った説明も不十分であるとしました。また、相続放棄が無効となった場合多額の債務の支払いを求められて自己破産まで余儀なくされるような危険を現実性のあるものとして説明せず、かりにそのような説明があったら通常相続放棄を選択したはずであると指摘しました。
 その上で弁護士Yに説明義務違反があるとして、Xに対して損害賠償責任を負うとしています。
 
 弁護士による説明義務違反については過ちを犯さないよう自戒しなければいけないところです。
 Xは弁護士Yに対して「Y先生に相続手続きをお願いした当初は、こんなにも大変なことになると思っていませんでした」「1日考えましたが、やはり自己破産には抵抗があります。先生もご指摘されたように、私は何の利益も受けていませんし・・・敗訴にならないように、御力を貸してください」と記載されたメールを送っています。自己破産という重大なリスクを甘受するという人はまずいませんので、Xがメールに書いてあるようなことを考えるのは当然のことだと思いました。
 またXは訴えられた債権者以外の関係でも相続により債務を負っており、そのことについて弁護士Yに問い合わせたところ、弁護士Yからは時効待ちを行うのが賢明であるとのメールが送られてきています。ただ借金について時効待ちという説明で納得できる人は殆どいないのではないでしょうか。その間に訴えられればさらに多額の遅延損害金のついた債務名義が増えてしまい、ますます苦しい状況に追いやられてしまいます。
 依頼者が負うリスクについて軽く考えることなく、その上で適切な説明を行うべきであることを改めて考えさせてくれる裁判例でした。

2017年5月 3日 (水)

憲法記念日に思うこと

憲法記念日に思うこと

 

 日本国憲法が施行されて満70年を迎えた。基本的人権の尊重を軸に国民主権と平和主義を高らかに謳うわが憲法は,今なおわが国が進むべき道を示し続けていると思う。

 またそれだけに,安易で粗野な憲法改正の議論には反対である。未来永劫いかなる改正にも反対と言っているわけではない。しかし今日の改正議論は,与党の改正憲法草案などを見てもわかるとおり,安易で粗野だと言いたい。

 

 改正の根拠の1つに「押しつけ」憲法論がある。しかし「押しつけ」論には無理がある。私がそう考える最大の論拠は,「押し付けられた」とされる際の,すなわち昭和21年2月13日外務大臣官邸でのホイットニーGHQ民生局長と松本丞治国務大臣,吉田茂外務大臣の会談でホイットニーが述べた「脅し文句」の内容だ。その「脅し文句」は,「日本国政府が政府案に拘泥するならマッカーサーはマッカーサー草案か政府案かを国民に選択させるつもりだ」というものであった。

原文は次の通り。誤読を避けるためにフレーズ全部を紹介する。

General MacArthur feels that this is the last opportunity for the conservative group, considered by many to be reactionary, to remain in power; that this can only be done by a sharp swing to the left; and that if you accept this Constitution you can be sure that the Supreme Commander will support your position. 

I cannot emphasize too strongly that the acceptance of the draft Constitution is your only hope of survival, and that the Supreme Commander is determined that the people of Japan shall be free to choose between this Constitution and any form of Constitution which does not embody these principles.

http://www.ndl.go.jp/constitution/shiryo/03/077/077tx.html

 この件についてはいつも言うのだが,「直接国民に選ばせるぞ」と言われて「脅された」と感じるのは当の国民ではない。時の政府が,自身が作成した政府案の方が国民の支持を得られると考えたなら,「望むところだ」と答えればいい。そうしなかったのは,政府自身が,国民はマッカーサー草案を支持するに違いないと考えていたからであろう。そんなことになったらとんだ恥さらし,国民の支持も失うだろう。だから,マッカーサーはホイットニーを通じて,この草案受諾を「last opportunity for the conservative group」といい,「if you accept this Constitution you can be sure that the Supreme Commander will support your position.」言っているのである。

 

 押し付けられた者がいるとしたら,「the conservative group(保守派)」であろうが,「Supreme Commander will support your position.」と地位を保証してもらっておきながら後になって「押し付けられた」などと言い出すのは,私から見ればむしろ卑怯な態度だ。

 そもそもわずか1年前に,若者たちに「国のために死ね」と言っていた者たちの中に1人でも,命を賭してマッカーサー草案に反対した者がいたか。そのような主張をしてGHQと断固闘って投獄されたり獄死したりした者がいたか。

 私は半世紀以上も経って,証人のほとんどが息絶えてから,「抵抗できなかった」「押し付けられた」などと言い出す者を,到底信じることができない。

 

 別の根拠に,70年も変わらないのでは時代にそぐわなくなっているだろう,というものがある。しかし私たちは部屋の模様替えをするわけではない。問題にすべきはその理念を変更したり何かを加えたりする必要があるか,ということである。私は,今のところその必要はないと考えている。なぜならわが憲法の基本原理である基本的人権の尊重が,理念のレベルで未だに国民に根付いていないと思うからだ。

 

 改正論者の中にしばしばみられる議論に,憲法のせいで権利ばかり主張する者が増えてきた,というものがある。どうも,自分勝手な人々やわがままな消費者が生まれたのは憲法のせいだと言わんばかりである。けれども,法律を真面目に学んだ者の中では自明のことだが,人権は,基本的には国家や公権力類似のものに対する権利であるし,それゆえに他者の人権を侵さぬ限り最大限尊重されるべきものである。人権について正しく理解していれば,自身の人権を主張するがゆえに他者の人権をないがしろにしていいという考えには至らないはずなのであって,むしろ「行き過ぎた人権意識」などと言う者の方が人権について正しい理解をしていないのではないかと思われる。人権とは,ものすごく大雑把に言えば,国や公的機関から個人の自由を脅かされないことと,人にふさわしい最低限の生活を営むことが可能な援助を国や公的機関から受けることができることからなる。単なる自分勝手やわがままと基本的人権に由来する権利主張とは明確に異なるのである。

 また,10年ほど前にベストセラーになった,数学者が書いた新書に,「憲法には人は平等だと書かれているが,実際には不平等ではないか」という趣旨で憲法を批判している部分があり,呆れたことがあった。現実に不平等が存するからこそ,人の価値は本質において平等なのだと宣言する必要があるのだ。そして,その尊厳において平等に扱われるべきことが謳われているのだ。それをわからぬ者が大勢いるうちは,まだまだ憲法の理念が十分に国民に共有されているとは言えないと思う。

 

 そういうわけで,残念ながら,国民も政府も,未だ憲法が要求するレベルの人権感覚を身に着けるに至っていないというのが私の今の認識だ。憲法を改正するなど,まだ何十年も早い,というのが今の私が思うことだ。
                               (櫻井光政)

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